カーゴニュース 2025年10月2日 第5375号
オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日
大阪通関業会(米澤隆弘理事長)はこのほど、会員アンケート調査の結果をまとめた。関税・消費税の立替払いについては87%が「行っている」と回答。昨年調査時と同様、約9割が負担に感じていることがわかった。改善策としては法整備よる規制を求める意見が5割にのぼっていた。
輸入申告項目追加、5割が苦慮「ある」
アンケートは2025年6月19日~7月31日にかけて全会員営業所311者(会員数は240者)を対象に行い、回収率は61・7%だった。
23年10月12日から、輸入許可後の貨物の「運送先の所在地・名称」と「通販貨物に該当するか否か」、通販貨物に該当する場合には「プラットフォームの名称等」が輸入申告項目として追加されたが、これらについて苦慮の有無を聞いたところ、「ある」が56%と過半数にのぼった。
「全ての最終配送先を確認し入力する必要があり、確認作業・作業工程が増えるなど、かなり時間と労力を要し、申告にも支障を来すことが予想される。その結果、納品の遅れや通関士の労働強化が懸念される」といった意見が寄せられた。また、「配送先欄の入力をローマ字以外に日本語表記でも可能にしてほしい」「負担軽減のため、通販貨物以外は運送先の入力を不要にしてほしい」「AEO(認定事業者)など一定の評価基準を満たす者については入力を省略できる運用にしてほしい」といった要望があった。
併せて導入された海上小口貨物にかかる簡易通関については、業務に影響が「ある」との回答は9%だった。具体的な影響としては、「貨物確認(現物、資料収集など)、現地への問い合せに時間を要し、通常業務に遅延が生じる可能性がある」、「航空から海上に一部貨物がシフトするのではないかと懸念する」といった声があった。
EPA認定アドバイザー受講に45%が前向き
日本通関業連合会が導入した「EPA関税認定アドバイザー制度」については、関心が「ある」(58%)が「ない」(42%)を上回った。アドバイザーの役割について「承知している」との回答は47%。養成講座に関しては「既に受講」(11%)、「今後受講させたい」(8%)、「検討中」(26%)を合わせて45%が前向きにとらえていた。受講が未定の理由としては、「事業化は難しく、収益に結びつかないと考える」「通関業務との両立が困難」「業務多忙のため4日間(連続)の養成講座受講が困難」といった意見があった。
EPA関税認定アドバイザーに関する要望としては、「対面講座を東京だけでなく、大阪、名古屋など6大港で開催してほしい」、「認定にあたっては、一定の理解度や知識を評価する制度としてはどうか」「定期的に知識のブラッシュアップのためのフォローアップ研修を開催してほしい」「通関業法を改正し、EPA関税認定アドバイザーを正式な資格として認定し、同アドバイザーを取得している通関士は士業として独立開業できるよう制度化してほしい」などが挙げられた。
また、EPA(経済連携協定)そのものに関する課題としては、「顧客からのHSコードの事前確認が以前よりも増加したため、回答に時間を要する」「各EPAごとに求められる原産地基準や必要書類が異なり、作成・確認作業に時間と労力を費やし負担が増大している。それが金銭面での収受に直接つながっていない(料金に反映させることが難しい)」といった負担も報告された。
9割弱が立替払い実施、近年変化なし
関税・消費税の立替払いの実施状況は、「行っている」(87%)が9割弱だった。23年は90%、24年は89%で近年ほとんど変化がない。関税局から各荷主企業団体宛に通関業者との公正な取引への協力を求める要請文書が発出されて以降も「変わらない」(43%)、「あまり減少していない」(18%)との回答が約6割にのぼった。負担の認識については「非常に負担が大きい」(47%)、「やや負担がある」(39%)を合わせて約9割。改善策としては、「法整備による規制」(52%)、「公正取引委員会における取締り強化、行政による周知・指導」(19%)、「立替払いができないようなシステムに変更」(10%)などが提案された。
ダイバーシティを含む働きやすい職場環境の整備については「ある程度進んでいる」(54%)が半数を超えた。具体的な取り組みでは、「残業の削減等長時間労働縮減への取り組み」(61%)、「休暇が取得しやすい環境整備」(53%)といった回答が多かった。また、半数が課題を感じており、「人手不足(通関士、IT人材等の人材の確保)」「IT化、DX化」「夜間勤務等の長時間労働・時間外労働の削減」「仕事が属人化しないよう、情報の共有化、事務の平準化」などが挙がった。
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