日本GLPは福岡で15万㎡超の開発を計画

カーゴニュース 2025年10月16日 第5379号

ズームアップ
九州で賃貸用物流施設の開発が急拡大

25年以降、97万㎡超が計画

2025/10/15 17:00
全文公開記事 倉庫・物流施設

 九州で賃貸用物流施設の開発が活発だ。首都圏や関西圏といった本州の大都市圏からの輸送距離とリードタイムが長く、「2024年問題」への対応として九州域内でのストック需要が増しているほか、台湾半導体製造大手のTSMCの熊本進出を機に半導体関連産業の集積が進み、新たな物流需要が生まれているためだ。2025年以降に竣工する賃貸用物流施設の総延床面積は約97万㎡超にのぼる。CBREの調査によると、福岡圏の25年4~6月期の大型マルチテナント型物流施設の空室率は3%と他のエリアと比べまだ低水準にあるが、今後の供給拡大で需給バランスがどう変化するか注目される。

 

開発エリアは九州北部から中部・南部へ

 

 九州圏の物流施設は福岡県・佐賀県を中心とする九州北部に集中している。従来、他の経済圏と比べ賃貸用物流施設の供給が進んでいなかったため、潜在需要が顕在化し、近年、空室率は0%に近い状態が続いた。こうした背景もあり、大規模なマルチテナント型物流施設の計画が一気に加速し、賃貸用物流施設のマーケットが拡大している。

 

 九州北部に開発用地が不足しつつあることから、賃貸用物流施設の立地も九州中部・南部へと広がっている。とくに半導体関連産業が集まり物流需要の増加が見込まれる熊本には、複数デベロッパーが開発を計画しており、ドライバーの労働時間規制強化で九州北部からの配送に制約が出てきそうなさらに南部でも需要が見込まれる。

 

メガ級の施設が福岡、佐賀に続々と誕生

 

 九州県内で最大規模となりそうなのが、日本GLPが開発する「GLP福岡ICプロジェクト」。延床面積は15万㎡で28年中の竣工を想定。プロロジスの「プロロジスパーク基山2」(佐賀県基山町)の延床面積も10万㎡で、28年末の竣工を目指している。日本GLPは熊本でも1・8万㎡の物流施設を開発する。

 

 物流不動産専業では、ESRが佐賀県基山町に「基山町ディストリビューションセンター」(6万5987㎡)を来年2月に竣工予定。総合デベロッパーでは、東京建物が熊本で7万㎡超、5万㎡超の大規模物流施設を開発する計画がある。東急不動産も30年度に鳥栖、31年度に福岡・粕屋で物流施設を開発予定だ。

 

電鉄、不動産など地元勢も開発に意欲

 

 九州地区での開発に意欲的なのが地元企業のJR九州(九州旅客鉄道)だ。「LOGI STATION 福岡小郡」(延床面積8万5000㎡)が今秋竣工で、来年には「LOGI STATION福岡苅田」(1万6568㎡)、再来年には「北九州地小倉南区物流施設計画」(3万2436㎡)、「熊本菊池市物流施設」(1万6815㎡)の竣工を予定している。

 

 地元勢ではこのほか西鉄が来秋に「MID LOGI鳥栖」(10307㎡)、福岡地所も「ロジシティ須恵」(1万9817㎡)を竣工。福岡地所はシー・アール・イー(CRE)と「ロジスクエア鳥栖Ⅱ」(3万6474㎡)を共同開発する。また、西部ガスも福岡県新宮町で27年に大規模物流施設「N-base福岡新宮」(7万300㎡)の竣工を控える。

 

 CBREが発表した25年4~6月の福岡圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は3・0%で前期比1・2pt低下した。10%を超えた首都圏、名古屋圏と比べ空室率は低水準。既存物件の空室の消化が進み、空室を抱えた物件は限定される。福岡市近郊では日用品など一般消費財の保管ニーズが常態的にあり、とくにランプウェイやスロープ付きの物件が人気だという。ただ、新規供給が進み、26年に向けて空室率は上昇する可能性もあるという。

25年以降に竣工する主な賃貸用物流施設
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 建荷協 富士物流のホームページにニュースを提供中!! 日通NECロジスティクス提供 物流用語集