カーゴニュース 2025年10月16日 第5379号
国土交通省は9日、「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)の第4回会合を開催し、参加メンバー間で意見交換を行った。今回の議論を踏まえ、来月に開催予定の第5回会合で持続的・安定的なラストマイル配送の実現に向けた施策の方向性を提示する考えだ。
国交省は近年のEC市場の拡大により宅配便の取扱件数が増加する一方、ドライバー不足や今後の担い手不足により輸送力の縮小が見込まれることに対応し、ラストマイル配送の維持を図る施策を打ち出すため同検討会を設置。対策として「置き配」など多様な宅配荷物の受け取り方の一層の普及を図るともに、過疎地域での自治体と宅配事業者が連携した共同配送や貨客混載の推進、離島や山間部でのドローンによる配送や都市部での自動配送ロボットを利用した配送サービスの社会実装などを検討している。
宅配サービスのあり方に関する議論では、事業者が「置き配」を行いやすくなるよう、国交省が1990年に定めた「標準宅配便運送約款」の一部改正を行う考えも出てきている。現行の標準宅配約款が規定する荷受人等が不在の場合の措置(第12条)では、受取人が不在の際は荷物の引き渡しをしようとした日時と宅配事業者名、問い合わせ先の電話番号など荷物の引き渡しに必要な事項を記載した不在連絡票で通知し、再配達を行うことを前提に荷物を営業所で保管することを規定している。標準宅配約款を改正し「置き配」を明確化することで、利用者は通常サービスとして「置き配」を選択する例が増えることが期待される。
再配達率の削減目標は未達に
国交省は再配達率の削減目標として25年3月末までに6%とすることを掲げていたが、4月時点の再配達率は8・4%で削減が思うように進んでいないという実態がある。再配達削減を一層推進するためには、標準宅配約款を改正し「置き配」を〝解禁〟すべきとの考えも一部にあり、今後の選択肢として排除していないようだ。宅配事業者にとって再配達の削減は歓迎すべきだが、他方、現行の標準宅配約款では「置き配」の荷物が盗難にあったケースを免責事項に含めていないことが懸念材料となっている。
また、国交省は24年6月に「マンション標準管理規約」を改正し、マンション・集合住宅の居住者が「置き配」サービスを利用する際にマンション管理組合等がルールを策定するよう規定。要点として、①荷物を置ける時間帯と場所②荷物の留め置き期間③衛生面や危険性による利用不可品目④ルール違反への対応⑤盗難時の責任の所在――などを示した。盗難対策や防犯上の観点から「置き配」に起因するトラブルも懸念されるため、マンションなどでの利用は一定の規制が必要との意見もある。
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