カーゴニュース 2025年10月21日 第5380号
東京冷蔵倉庫協会(東冷倉、武田信一郎会長)は16日、神奈川県冷蔵倉庫協会(大石竜司会長)、埼玉県冷蔵倉庫協会(中村治幸会長)、千葉県冷蔵倉庫協会(山本裕史会長)と連名で、寄託者(荷主)、運送事業者向けに「『改正物流効率化法』遵守に向けたご協力のお願い」と題する依頼文書を作成したことを明らかにした。寄託者、運送事業者と双方の効率化を図り、Win―Winの仕組みを構築するため、冷蔵倉庫業界として「完全予約」を目標とすることを表明。完全予約導入にあたって、冷蔵倉庫への入出庫依頼の前倒しなどについて協力を求めた。
改正物流効率化法では、2028年度までに原則として、荷待ち時間等を含む1回の受け渡し時間の目標を1時間以内に設定しなければならない。しかし、関東の冷蔵倉庫の状況は接車バース数をはるかに超える運送便の到着により 荷待ち時間が長時間化しており、1時間以内の目標を達成するためには従来の取引日における「出庫明細と配送積荷明細の照合」、「バース接車後の荷揃え開始・立会者検数」の方法を改める必要がある。
冷蔵倉庫側では、入出庫に必要な情報を事前にすべて入手すること(完全予約)で、例えば、仮置きスペースなどを確保し、入出庫準備を事前に行い、当日の受け渡しをスムーズに行うことで、1回の受け渡し時間を1時間以内に収めることを目標に掲げる。完全予約を行ったトラックは1時間以内で受け渡しを終え、次の場所へ効率良く計画通りの移動が可能となり、「冷蔵倉庫のみならず寄託者、運送事業者にもメリットとなる」(東冷倉)としている。
このため、「トラック到着受付順でのバース接車」という古くからの商慣行から脱却し、「完全予約を行ったトラックを優先的に時間通りにバース接車させる」ように商慣行を改める。一方で、完全予約を行っていないトラックは現状よりも荷待ち時間等が増えることが予想されるため、寄託者は完全予約を行うため運送事業者に働きかけ、速やかに新しい商慣行の構築に協力を求める。
入出庫依頼の前倒し、小口入出庫の削減を要望
完全予約の導入に向け、積み降ろし荷の事前照合のため配送積荷明細を、入出庫日の前日10時までに冷蔵倉庫へ届けるよう要請。従来は受付時に出庫依頼明細と配送積荷明細を照合していたが、過不足による追加出庫依頼・打鍵入力・帳票出力 ・代車連絡がない場合などに、待機時間が長くなる傾向がある。また、現状、冷蔵倉庫の接車バース数以上到着した車両は、荷待ち時間が長時間化しており、予約受付システム機能を活用することで待機時間が削減される。
前日の照合および入出荷のバース予約を行うにあたり、入出庫の依頼を前々日15時までに冷蔵倉庫に届けることを求めた。事前の受付照合 ・事前の荷ぞろえ作業を進め、可能であれば新たに仮置きスペースを確保して当日スムーズな対応が行えるようにする。さらに、将来的にパレチゼーション化を進めていくには、入出庫の前倒し依頼が必要不可欠とした。
トラック台数を増加させ待機時間増加の大きな要因となっている小口入出庫の削減も要請。週3回10ケースずつ引き取っていた商品を週1回30ケースの引き取りに変更することで、週当たり2台の削減につながると試算する。小口入出庫の削減の取り組みは、寄託者側の努力義務であるため、冷蔵倉庫側からも推進を提案する。また、出荷商品全量へのラベル貼付など時間の掛かる作業はバース回転の妨げになり、待機中の運送便に長時間の待機を発生させているため、今後、バース接車時の時間を要する作業については、個別に具体的に相談することとする。
なお、「冷蔵倉庫によって、予約システム導入の有無や立地・建物等の条件が異なるため、改善項目すべてを同時期に横並びで実施することを約束するものではない」と説明。現状、冷蔵倉庫によって異なる解釈や運用方法があるものの、「今後、冷蔵倉庫業界の標準化された作業となるよう冷蔵倉庫協会を中心にまい進する」としている。
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