カーゴニュース 2025年10月21日 第5380号

経団連
CLOのグループ企業内「兼任」を要望

長期的な視点の物流投資へKPI管理を

2025/10/21 06:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 団体

 日本経済団体連合会(経団連、筒井義信会長)は14日、「2030年に向けた物流のあり方」と題し提言をまとめた。現在、策定が進められている次期総合物流施策大綱では、喫緊の課題である「物流の持続可能性の確保」と、中長期的な視野から戦略的に進めるべき「成長戦略」としての物流の2つの観点を「目指すべき政策の方向性」として定めることを求めた。

 

 2026年度から特定荷主に選任が義務付けられる統括責任者(CLO)の選任について、親会社がグループ会社のCLOを一体的に担える仕組みの導入が必要と訴えた。根拠として、省エネ法のエネルギー管理統括者では、認定管理統括事業者制度を活用すればグループ企業内での兼任が可能となっていることを挙げ、「CLOのグループ企業内での兼任が可能となれば、グループ一体的に物流効率化に取り組むことが可能となる」と提言。CLOが長期的な視点での物流投資を促進できるよう、大綱のKPIの進捗管理を要望した。

 

 商慣行の見直しに向けた経済界・消費者の意識改革として、①指定時刻の分散化と柔軟化②納品リードタイムの延長③在庫拠点の分散化④倉庫作業の前倒し・平準化⑤ドライバーの付帯業務の削減⑥大規模商業施設などへの配送時の協力を建築物の所有者・管理者に呼びかけ⑦梱包の簡素化⑧レンタルパレットの適切な契約⑨ケミカルタンカーやタンクローリの前荷規制の見直し――などを提案。「荷主企業が物流事業者、倉庫事業者などに対し、販売予測や発注予定データを共有し、関係者全体で積載効率の向上や需要変動の平準化を図ること」も一案とした。

 

 新モーダルシフトの推進では鉄道輸送に関してリードタイムの延長への理解醸成を図ることに加え、企業の温室効果ガス排出削減努力を可視化・取引可能にするJ―クレジットなどを創出することで、モーダルシフトによるCO2削減の経済的メリットを荷主企業が実感できる仕組みが必要と指摘。需要増に応えていくためには、鉄道事業者側の施設や輸送機材の近代化に向けて、コンテナホームの拡張、積み替え施設の整備、背高コンテナに対応するための改修等対する財政的な支援が求められるとした。内航海運については、シャーシ数の増加に向けた事業者への補助金、シャーシ・トラクターヘッドの規格化、特車申請・連結申請のさらなる簡素化・迅速化などの施策を提言した。

 

港湾での荷待ち時間削減も低減

 

 航空貨物輸送の利用拡大を図るためには、航空貨物が医薬品や高級食材などの温度管理の徹底が求められる貨物の取り扱いが多い性質上、コールドチェーン体制の構築が不可欠であるとし、保冷輸送用器材の開発や地方空港やその周辺における保冷施設の導入推進を求めた。トラック輸送では、将来的に長距離幹線輸送を担うダブル連結トラックや自動運転トラックが円滑に運行できるように、車両の連結・切り離し・ドライバーの交代・荷物の積み替えなどを行う中継連携拠点のインフラ整備が求められるとした。

 

 国際海上輸送では、港湾での荷役に関し、ゲートの閉鎖時間や待機時間がボトルネックとなっており、トラック事業者にとって輸送効率低下の要因となっていると指摘。港湾ゲートのオープン時間延長や、複数ターミナルの一体的な運営体制の構築などによる荷待ち時間の削減が必要と提言した。

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