カーゴニュース 2025年11月13日 第5387号
国土交通省は7日、宅配便の再配達削減や地域での物流サービス維持を図る施策の方向を示す提言を公表した。宅配事業者やEC事業者など関係者と国交省で構成する「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)が取りまとめたもの。国交省は次期「総合物流施策大綱」が提示する施策に反映させる。
提言では国が定める標準宅配便運送約款(標準宅配約款)を改正し、対面での引き渡しに加え「置き配」や宅配ボックス、コンビニ受け取りなどを標準的な受け渡し方法に追加する方針を示した。国交省はこれに基づき、標準宅配約款を年明け1月にも改正したい考えだ。
一部大手では自社独自の約款を定め、「置き配」や宅配ボックスの使用など対面以外の引き渡し方法を明記している例もある。標準宅配約款を届け出ている事業者の場合は、標準約款の改正により独自の約款を定めなくても対面以外での引き渡しを行いやすくなる。
標準宅配約款の改正後は「置き配」が増えることが想定されるため、セキュリティ確保を前提にオートロック式マンションでの「置き配」を行いやすくすべきだと提言。具体的には、マンションによって異なる入館システムに対応できるよう宅配事業者間で伝票番号やデータ形式の共通化を図ることを検討していく。
また、地域での物流維持のための施策として、自治体を中心とした物流網維持のための協議会を支援する。とくに農山漁村では、郵便局、宅配事業者、EC事業者など関係者の連携を促進する方向を提示。過疎地域など運送サービスの維持が困難な地域では、バス・タクシー・トラック事業者による貨客混載を推進することを求めた。
繁忙期に軽貨物車両を共同使用
現行の法令では、貨物自動車運送事業者が運行や労務管理などの安全指導を行うことを前提として、需要の季節波動により輸送需要が大幅に増大し事業用トラックのみでは輸送力の確保が困難となる場合、一定の日数・車両台数に限って自家用トラック(白トラック)による有償運送を許可している。具体的には1年間のうち1台あたり最大90日で、車両数は安全指導を行う貨物自動車運送事業者が保有する車両数を超えない台数に限っている。この条件を見直し、需要が集中する時間単位で白トラックの有償運送を認めることや、有償運送を行う際の日数・車両台数の制限を緩和する方向を示した。さらに、採算性の確保が困難なため貨物自動車運送事業者が撤退するおそれのある地域では、自家用トラックによる輸送サービスの具体化について自治体も関与した制度的措置が必要だとした。
加えて、現状では法定点検や故障・事故の修理期間のみに限っている事業者間での軽貨物車両の共同使用に関して、冷凍冷蔵食品を配送する保冷機能付きの軽バンなどを繁忙期には共同使用できるようにする考えを示した。
そのほか、離島・山間部でのラストワンマイル配送を維持するため、ドローンを活用した配送拠点の整備を支援する方針。配送の担い手不足に対応した取り組みでは、最高時速20㎞程度の中速の自動配送ロボットの実装に向け実証実験を行うとした。
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