20万㎡の巨大センターが誕生

カーゴニュース 2024年6月27日 第5254号

現場レポート
ベルーナ/吉見ロジスティクスセンター
AGV、GTPで進化する「通販物流最前線」

今後は〝プロフィットセンター〟へと成長

2024/06/27 18:51
荷主・物流子会社 マテハン

 通信販売大手のベルーナ(本社・埼玉県上尾市、安野清社長)では近年、グループ全体の成長を見据えて、物流拠点の最適化を進めている。1986年に総合カタログ「ベルーナ」を創刊した老舗事業者である同社は、アパレル・雑貨事業を運営し、セグメントの売上高は約740億円(2024年3月期)、年間の出荷件数は約740万件に及んでいる。

 

 そうした中、昨年は基幹拠点である吉見ロジスティクスセンター(埼玉県吉見町)の増築増床を実施。最新のマテハン機器を導入することで、ロングテール化が進む通販物流の効率化を進めている。

 

 加えて同社では、長年の物流事業で蓄積されたノウハウを活かし、3PL事業にも進出、今後の拡大に向けた取り組みも進めている。執行役員ディストリビューション本部長の山内雅人氏は「物流部門はコストセンターと見られがちだが、リニューアルした同センターのスペックと当社のノウハウを内外に発揮して、グループ全体に寄与するプロフィットセンターに成長させていきたい」と展望する。

 

昨年8月、日本最大級の通販物流拠点誕生

 

 吉見ロジスティクスセンターは、同社のアパレル・雑貨事業の通販及び店舗出荷業務の中核拠点として14年に開設された。「歩かせない」「考えさせない」「判断させない」をコンセプトに、スタッフの即戦力化と管理スタッフの最小化が図られてきた。

 

 そして、昨年の8月には、コロナ禍以降急拡大した在庫への対応と「今後の事業成長」「3PL事業の拡大」を主目的として、増築棟が竣工した。投資額は130億円にのぼる。延床面積は約20万㎡へ、最大保管在庫点数は1100万点まで拡大し、1日最大11万件の「当日受注・当日出荷」も可能とする。圏央道や関越自動車道から車で20~30分ほどの立地に、日本最大級の通販事業者の物流拠点が誕生した。

 

コンテナ化と搬送ラインで「歩かせない物流」

 

 同センターは1階が「仕分け・梱包・入出庫エリア」、2階以上が「保管・ピッキングエリア」となる。また増築棟にはSランク品を、既存棟にはそれ以外を保管する。

 

 増築棟1階には、「荷合せ」用の「マトリクスアソート」が1基追加され、既存棟の2基と合わせて3基となった。2階の約2万㎡には「GTP(Goods To Person)エリア」が新設された。また、4階はSランク商品のリザーブエリアで、高密度収納の自動倉庫が設置され、3階は3PL事業の別ラインとなる。一方の既存棟側は、3~4階の自動倉庫46基の「対面自動倉庫エリア」が中核となり、他には「ハンガーラックエリア」「パレットラックエリア」などが配置される。

 

 同センターでは商品をコンテナに入れて荷姿を統一することで様々な自動化・効率化を実現している。コンテナは、総延長12㎞にもおよぶコンベアラインにより、各エリア間を搬送される。これにより、スタッフによる「横持ち」は発生せず、各エリア内での「歩かない物流」が実現している。日々入荷する大量の商品は、「入荷後検品」され、必要に応じて「採寸」を行い「容積計算」された後、ID管理のコンテナに入れられて、商品ランクに応じて各エリアへ格納される。

 

オリジナルのマテハン「スピードローダ」で自動入庫実現

 

 総在庫の約4割を占めるSランク品は「GTPエリア」で保管・ピッキングされる。このエリアが、同センターの中核エリアのひとつだ。133台のAGVと約2000台のGTP棚、37ヵ所のワークステーション(WS)により、入出庫で高い生産性を実現する。

 

 ディストリビューション本部課長の富田邦義氏は、「GTPエリアではSランク品、既存棟の自動倉庫ではAランク品を扱い、全体のスループットを上げる当初の計画が成功している。概ね20%程作業効率は向上している。また、GTP棚への入庫自動化の効果も大きい。既存棟の自動倉庫でも自動入庫を実現しており、作業フローの面からも自動化は必要だった」と話す。

133台のAGVが2000台の「GTP棚」を搬送

 一般的なGTP機器の入庫は、人手作業が主流だが、同社では住友重機械搬送システムと共に、オリジナルのシステム「スピードローダ」を開発し、GTP棚への自動入庫を実現している。入荷コンテナが、コンベアにより「スピードローダ」まで搬送されると、GTP棚が「スピードローダ」に接車、コンテナが自動で入庫する仕組みだ。「スピードローダ」はGTPエリアに6基設置されている。 

独自開発「スピードローダ」で商品を自動入庫

 一方、出荷のピッキングでは、配送先への商品が同エリア内で完結する「完結ジョブ」のWSと、他エリア商品と「荷合せ」が必要となる「跨ぎジョブ」のWSに分かれて作業し、別の搬送ラインで出荷工程に送られる。

 

 富田氏は「多品種小ロットには、WS内で作業完結するGTP機器の相性が良い。当社ではこれに細かな工夫を加えて効率を上げている」と話す。

 

 GTP棚がWSに接車すると、棚側のサインボードと発送用トレイのボタンが点滅して「何を何個ピッキングして、何処に入れるか」が視覚的にすぐ判断できる仕組みとなっている。簡単な説明で、誰にでもすぐに出来るように開発されており、WS1台で1時間に最大500個のピッキングが可能となる。

瞬時に判断できるピッキング作業を構築
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