カーゴニュース 2026年3月26日 第5422号

インタビュー
31‌ftコンテナの増備で鉄道へのシフト需要に応える
全国通運 代表取締役社長
吉澤 淳 氏

2026/03/26 06:00
全文公開記事 貨物鉄道・通運 インタビュー

 「新免」と呼ばれる全国の鉄道利用運送事業者で構成される全通系ネットワーク。そのとりまとめ役を担う全国通運は、31‌ftコンテナの戦略的な増備によって、温度管理輸送など多様化するニーズに対応した営業施策に注力している。昨年6月に社長に就任した吉澤淳氏に足元の輸送動向や来年度に向けた営業施策、今後の事業成長に向けた経営課題などを聞いた。

(インタビュアー/西村旦)

 

上期と下期で状況一変、年度累計ではプラス確保へ

 

 ――2025年度の全通系鉄道コンテナの発送実績はいかがでしょうか。

 

 吉澤 上期と下期とでまったく様相が違います。上期のすべり出しは非常に好調で、4~8月は対前年比110%を超える状況が続き、9月については前年にあった輸送障害の反動もあり単月で120%台という高い伸びを示しました。しかし、11月以降は一転して前年割れとなりました。夏場の猛暑の影響で北海道を中心に農産品が不作だったことに加え、能登半島地震の災害廃棄物輸送が9月に終了したことでエコ関連物資が大きく減送となったことが影響しました。さらに、1月末から2月初旬にかけて北日本の広範囲で発生した大規模な雪害による輸送障害が追い打ちをかけている状態です。

 

 ――年度トータルでの実績はどのくらいの水準に着地しそうでしょうか。

 

 吉澤 上期の〝貯金〟もあって、年度累計では前年度を上回る見通しです。ただ、リニア関係の実績を除いた輸送量は前年からほぼ横ばいから微増程度にとどまり、必ずしも満足できる水準とは言えません。

 

 下期以降、輸送実績が低調に推移している原因は、直接的には大規模な雪害などがありますが、もっと大きな背景として物価上昇による消費低迷が影響していると感じています。仮にメーカーなどの収益が前年と同じ水準を確保できているとしても、それは値上げによる増収分を加味したものであり、出荷量など物量ベースでは減っていることになります。輸送量で仕事をしている我々のような物流企業にとっては大きなマイナスになっていることが考えられます。

 

需要旺盛な31‌ft温度管理コンテナを前倒し発

 

 ――そうしたなかで、4月からスタートする26年度は、どのような方針のもとで事業を進めていくお考えでしょうか。

 

 吉澤 来年度は、24年度からスタートした中期経営計画の最終年度となります。今中計では31‌ftコンテナの戦略的な増備を中心とした営業施策を推進してきましたが、26年度も積極的に取り組んでいくことで鉄道モーダルシフトのニーズを着実に取り込んでいきます。

 

 具体的には既存のスーパーグリーンシャトル用や佐川急便様ご利用の分を除いた31‌ftコンテナの保有基数を26年度末までに78基から147基まで増やす計画で、24年度に34基を発注したのに続き、今年度についても15基を発注しました。さらに、このうち31‌ft温度管理コンテナについては、26年度に発注予定だった10基のうち5基を前倒しで発注しており、温度管理に対する旺盛なニーズに対応していきます。ここ数年、猛暑が続いていることもあって、品質向上を目的とした温度管理輸送に対する要請が高まっており、従来は常温コンテナで運んでいた品目についても、温度管理コンテナに切り替える動きが顕在化しています。

 

 ――昨年12月から武田薬品工業の医療用医薬品の輸送で31‌ft温度管理コンテナによる鉄道輸送が開始されました。

 

 吉澤 武田薬品工業様の物流業務を受託されている三菱倉庫様とのスキームにより、医療用医薬品分野として初めて31‌ft温度管理コンテナによる鉄道輸送が始まりました。昨年12月に九州エリア向け、今年1月からは東北エリア向けで輸送がスタートしています。医療用医薬品の輸送は、GDP(医薬品適正流通)ガイドラインに準拠した厳格な品質管理が求められるなど、我々に要求される技術的なレベルも非常に高く、重い責任を感じています。医薬品はこれまで鉄道があまり扱ってこなかった品目であり、新たなモーダルシフトの動きとして大きく育てていきたい分野のひとつです。こうした品目や領域を主戦場にしていくことが、鉄道貨物輸送の存在意義を高めることに直結すると考えています。

31ft温度管理コンテナによる医療用医薬品の鉄道輸送

 ――31‌ftコンテナは、大型トラックからの転換が容易なこともあり、鉄道モーダルシフトの切り札に位置づけられています。ただ、現状では片道での利用が多く、ラウンド運用の拡大がカギを握っています。

 

 吉澤 確かに31‌ftコンテナの償却負担は重く、コンテナのレンタルフィーだけではカバーすることが難しい面があります。その意味で先行投資的な側面はありますが、まずは利用企業を増やし、往復でのラウンド利用の裾野を広げていくことが肝要です。そのためにも、JR貨物には31‌ftなど大型コンテナの取扱駅をもっと増やしてもらい、31‌ftコンテナが全国的に回転しやすいインフラや体制を整えてほしいと考えています。

31ftコンテナの拡大はラウンド運用がカギ
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