カーゴニュース 2026年3月26日 第5422号

インタビュー
31‌ftコンテナの増備で鉄道へのシフト需要に応える
全国通運 代表取締役社長
吉澤 淳 氏

2026/03/26 06:00
全文公開記事 貨物鉄道・通運 インタビュー

モーダルシフト推進協議会や官公需の案件獲得に注力

 

 ――全国通運の〝お家芸〟ともいえるモーダルシフト推進協議会の取り組みについてはいかがでしょうか。

 

 吉澤 お客様企業とJR貨物、当社などでメンバーを構成するモーダルシフト推進協議会は、本社開発営業部のいわば主業として、当社の営業戦略の核を占めています。現状でも10を超える協議会が動いており、そこでの協議などを通じてお客様からのニーズを吸い上げながら案件の具体化を図っていくスキームとなっています。今後も積極的に活動していくことで、31‌ftコンテナの利用拡大など増送につなげていきます。

 

 また、当社の収益基盤を下支えする意味でも、官公需のスポット輸送の受託拡大に取り組んでいきます。具体的には、北海道新幹線の延伸工事に伴うレール輸送案件の受託継続のほか、さらに昨年秋に八丈島で発生した台風災害の廃棄物処理輸送や自衛隊装備品の輸送案件の落札も目指していきます。

 

 ――26年度の数値目標について教えてください。

 

 吉澤 まず、26年度のコンテナ発送個数については、ここ数年の伸びをけん引してきたリニア関係が、工事スケジュールの関係などから前年実績を大きく下回ることがすでに見えていますので、それ以外の一般部分での増送に努めていきます。計画では、前年度比で103%程度を計画しています。

 

 収益面では、増送効果に加えて、コンテナ集配料金の改定をお客様にお願いしていくことで前年度比106%程度の増収を見込んでいます。ただ、当社従業員の賃上げなど待遇改善が不可欠であるため、全体では経常利益は25年度を下回る計画となります。

 

「オール通運」による連携で鉄道輸送の維持・拡大へ

 

 ――利用運送事業者の集配戦略の維持が大きな課題になっています。

 

 吉澤 ドライバー不足が深刻化するなかで、貨物駅両端の集荷・配達を担うドライバーや緊締車の不足が顕在化しています。ただ、労働人口の減少は避けられず、マンパワーを増やしていくことは現実的には難しい面があります。ですから、当面は荷待ち時間の短縮やパレット化などによる荷役作業の効率化で生産性を高めていく必要があります。その意味で、荷主企業の協力が不可欠であり、当社としても強く働きかけていきます。

 

 また、今後は利用運送事業者同士の連携・協働をさらに進めていくことも大事です。全通系事業者による連携は当然として、他の系統の事業者とも積極的に協働することで〝オール通運〟で鉄道貨物輸送を維持・拡大していく意識も必要だと思います。

 

 ――緊締車不足が進むなかで、貨物駅まで一般トラックで貨物を持ち込み、駅でコンテナに積み替える「積替ステーション」の機能強化も必要です。

 

 吉澤 JR貨物が駅での設置を進めていますが、数を増やすことに加えて、使い勝手をもっと良くしていってほしいと思います。JR貨物は「積替ステーション」の運営をグループ会社に任せることでグループ収入を増やしていきたい考えがあるとは思いますが、もっと利用運送事業者の力を借りて〝実を取る〟ほうが利用拡大の近道になると考えています。例えば、名古屋貨物ターミナル駅と岐阜貨物ターミナル駅では、全通系の濃飛倉庫運輸に「積替ステーション」の運営を委託しており、順調に利用が拡大しています。

濃飛倉庫運輸が手がける積替ステーション(名古屋タ駅)

人事異動の活性化や待遇改善が不可欠

 

 ――吉澤社長は昨年6月に着任されましたが、同社の今後の成長に向けた課題認識などをお聞かせください。

 

 吉澤 当社は組織としては規模の小さい営業会社であり、営業担当者の担当業務などが長期にわたって固定化されてしまい、ややもすると「個人商店」化してしまう傾向があります。担当者を固定化することは、お客様と長期にわたって信頼関係を築けるメリットがある一方で、異動やステップアップによる成長の機会を与えることができないデメリットもあります。今後は定期的な人事異動や担当替えなどを行っていきたいと考えています。

 

 また、支社機能の底上げも必要です。当社は営業面でも本社中心になっており、例えばモーダルシフト推進協議会の立ち上げや運営も本社が担っていることがほとんどです。ただ、営業活動では東京だけが主戦場ではなく、支社が中心になって地方のニーズを活発に拾っていくことも重要です。そうした課題意識を踏まえ、今後は支社を含めた全社で人事を回すことで、支社の活性化や底上げにつなげていくことを検討していきます。そうしたことを実現していくためにも、賃上げなどによる社員の待遇改善が不可決です。

 

 採用力の強化にも取り組みます。年齢や世代のバランスをとっていくためにも、年2~3人ペースで新卒採用を続けていく必要がありますが、26年春の新卒入社は残念ながらゼロになってしまいました。当社の魅力やブランド力を高めていくための施策が急務だと考えています。

 

 

吉澤 淳(よしざわ・じゅん)

 1982年日本興業銀行(現・みずほ銀行)入行。2005年7月にJR貨物入社。国際物流開発部長、東海支社長などを経て、18年6月常務執行役員関東支社長、20年6月取締役兼常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長、23年6月京葉臨海鉄道代表取締役社長、25年6月現職。1959年生まれ

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