カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
年1回の方針説明会で協力会社との連携を深化
このほか、荷待ち・荷役作業時間を短縮するため、一部の工場では入場予約システムを設けることで待機時間を削減。他方、ケミカル品を工場のタンクまで運ぶローリー車に関してはその特性上、どうしても通常のトラックなどより荷受時間が長くなる傾向があり、今後は異なる改善策を模索していく。また、24年4月から受注オーダーの運用を変更し、運送依頼の締切時間を前日15時から前々日の17時に前倒しすることで積載効率の向上につなげている。今後のさらなる輸送効率の向上を図るためには、フィルム品の段積みや顧客・同業種・異業種を問わない共同物流の推進、およびそのための積載率の把握、着荷主としての積載効率向上に向けた対応などを進めていく。
輸送品質の向上にあたり、DX化にも余念がない。三井倉庫に委託している合成樹脂取扱業務では、検品にAI―OCR(光学文字認識)を活用。これにより、従来は目視で行わっていた検品を自動化することで品種の読み間違いや判別ミスを防止し、誤配や誤出荷のリスクを抑制するとともに、複数名で何度も行っていた検品の作業効率の大幅な改善につなげた。今後は、この取り組みを三井倉庫の了解を得たうえで、他の倉庫会社にも展開し、パートナー企業と一体となって物流品質強化を進める計画としている。
物流業務を担う協力会社とのコミュニケーションを通じた物流改善にも積極的だ。事故の分析票や品質向上に向けたレポートを発行しているほか、毎年5月に協力会社を招いて「東レ物流方針説明会」を開催。自社の物流方針の理解促進を図るとともに、物流品質向上に貢献したパートナー企業に対しては表彰を行うことで、輸送・保管時における製品の破損や遅配、誤配などの削減につなげるなど、協力会社と一体となった物流レベルの底上げに努めている。また、物流安全・品質への取り組みとして、自然災害による被害防止に向けて、ハザードマップなどの情報や倉庫の構造などをもとに、社外倉庫拠点の自然災害リスクを調査・把握し、社外倉庫と共同で対策を行っている。
「物流のロールモデル、いないならば自分達が」
「2024年問題」への対策としてはもとより、環境負荷低減への貢献としても着々と進めているのがモーダルシフトだ。24年時点での長距離輸送におけるモーダルシフトの比率は31・3%となっている。とくに鉄道輸送の拡大に注力しており、3~5t程度の輸送ロットでは、5tコンテナでの積載効率が高い繊維の原綿や樹脂で鉄道輸送を利用。また、これまで鉄道輸送時の微振動で鉄道シフトが難しかった繊維の糸やフィルムなどの輸送でも、輸送テストを実施している。
さらなる環境物流推進の一手として、EVの導入も推進。昨年1月には滋賀事業場の構内作業専用車両にEVトラック1台を導入しており、今後は効率的な運用方法の検証を進めるとともに、他工場への展開も予定。さらに、T2と共同で昨年9月から今年4月にかけて、レベル2自動運転トラックによる石油化学品輸送の実証走行を計4回にわたって実施した。将来的なレベル4自動運転による輸送を見据えたもので、輸送にはカーボンニュートラル燃料を試験的に利用している。
さらに、「フィジカルインターネット実現会議」で大手同業他社と結成した「化学品ワーキンググループ」では、共同物流に取り組むなど業界を巻き込んだ改善を進めている。物流改革に取り組み続ける意義として高橋氏は「BtoBの産業貨物を取り扱うメーカーの物流では、物流子会社が全体を管理する形態もあれば、3PL会社に委託するケースもある。様々な形態があるなか、物流のオペレーションで当社のロールモデルになるような企業がなかなか見当たらない。それならば当社がそのロールモデルになろうと考えながら、取り組みを進めていく」と展望する。
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