カーゴニュース 2026年7月7日 第5449号
公正取引委員会はこのほど、2025年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等を公表した。独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779者に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付。注意喚起文書を送付した荷主で上位の業種は、「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」「食料品製造業」「飲食料品卸売業」「協同組合」だった。また、独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為を行為類型別にみると、「不当な給付内容の変更およびやり直し」「代金の支払遅延」「買いたたき」の順に多かった。
荷待ちに伴う追加人件費等の支払い有無にも着目
公取委では、荷主と物流事業者との物品の運送または保管にかかる継続的な取引を対象として、荷主および物流事業者向けのアンケート調査を実施。その結果を踏まえ、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主105人に対する立入調査を実施した。なお、改正物流特殊指定が4月1日から施行されているが、今回の調査は運送や保管を委託する発荷主と物流事業者の取引を対象に行った。
独占禁止法上の問題につながるおそれのある主な事例のうち、「不当な給付内容の変更およびやり直し」では、「荷主Dは、出荷する荷物を引き渡す際に、荷待ちが発生したかどうかを確認せず、物流事業者からの申出がなかったこともあり、実際には物流事業者との間で取り決めていた時刻に対して出荷が遅れ、荷待ちが発生していたにもかかわらず、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった」(窯業・土石製品製造業)などが挙げられた。
「代金の支払遅延」では、「荷主Hは物流事業者に支払う運賃について、自社の営業所から本社事務センターへの手続きが漏れていたことを理由に、あらかじめ定めていた支払期日を過ぎて支払った」(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)、「買いたたき」では、「荷主Jは労務費等のコスト上昇局面にあることを認識していたことから、物流事業者から運賃引上げの要請があれば協議に応じるつもりであったが、要請がなかったため協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた」(プラスチック製品製造業)などが指摘された。
物流事業者の関税等の立替え払いにもメス
「不当な経済上の利益の提供要請」では、「荷主Mは、物流事業者に対し、海外から調達した商品の自社の事業拠点までの運送業務を委託しているところ、当該運送業務に附帯する輸入通関業務について、税関への関税・消費税の納付を物流事業者に立替えさせていた」(繊維工業)事例があった。「代金の減額」では、「荷主Nは、物流事業者に対し、安全協力費用という名目で毎月の運賃から一定率を減額して支払った」(総合工事業)、「物の購入強制・役務の利用強制」では、「荷主Pは、物流事業者に対し、物流事業者が使用する車両について、自社が取り扱うリースを利用させた」(機械器具卸売業)などが挙げられた。
なお、荷主が違反を防ぐ具体的な取り組みとしては、「荷主Tは、物流事業者との間で、事前に電話や電子メールで集荷に来る時間を調整し、工場で製品を引き渡す際に荷待ちが生じないよう、出荷準備を整えることとしており、また、引渡しが遅れそうな場合には、必ず事前に集荷時間を連絡し、かつ、それに伴う追加費用の全額を支払うようにしている」(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)、「荷主Uは、物流事業者の荷待ちが生じないように取り組んでいるものの、例年、繁忙期には荷待ちが生じてしまうため、荷待ちにより追加費用が生じた場合には、物流事業者の請求に基づきその全額を負担することとしている。また、日頃から物流事業者に対し、追加費用が生じた場合には必ず荷主Uに請求するよう周知している」(食料品製造業)などが紹介された。
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