カーゴニュース 2026年7月30日 第5456号
一括りでなく業態に見合った「適正原価」に
――トラック適正化二法をはじめトラック運送業界を後押しする法律が整備されてきています。
木南 トラック適正化二法はご存じの通り、全ト協の坂本(克己)最高顧問のリーダーシップにより実現した法律です。この法律は、業界に対する行政の厳しい措置を、業界側から求めたという点で、他に類を見ません。
振り返りますと、トラック運送業界は平成の初めの規制緩和により、参入要件が緩和された結果、事業者数が増えて過当競争に陥り、長きにわたって運賃の低迷とドライバーの厳しい労働環境を招くことになりました。そうした状況のなかで、事業許可の更新制をはじめ、業界側から「厳しいルール」をあえて要望したことの背景には、社会に対して強い責任感を持ち、健全な業界を志向する経営者がこの業界にいかに多いか――というとことを示しています。
――トラック適正化二法では、「適正原価」の導入が義務付けられ、これを下回る価格での受注はできなくなります。業界にとっては荷主との運賃交渉の強い武器となりますね。
木南 「適正原価」の考え方には賛成ですが、これを実のあるものにしないといけません。「トラック業界」と言われますが、運ぶ荷物が異なれば“異業種”であり、運送原価は決して同じではありません。車両費、燃料費、車検費はだいたい似たようなものかもしれませんが、特殊車両となればコストがまったく違ってきます。そうしたことを考慮すると、業態に見合った「適正原価」を考えるべきだと思います。“異業種”を全部一括りにして「適正原価」を定めても、有名無実化してしまうのではないかという懸念があります。
――下請け次数を2次までとする努力義務が4月からスタートしています。
木南 多層下請構造を是正していく方向性は重要です。「適正原価」が導入され、それが定着していくことによって必然的に多層構造も解消に向かうのではないでしょうか。
規制緩和以前の「認可運賃」の時代は、業界全体として運賃に関するモラルが守られていました。当時も「運賃を下げれば、いくらでも仕事が取れる」と考える事業者はいましたが、「それははしたないことだ」と自制がまだ効いていました。ところが、規制緩和で過当競争になったため、荷主側も運賃が安い事業者を探すようになり、業界でも安値受注する悪質な事業者が増えました。トラック適正化二法をきっかけに荷主、事業者とも意識を変え、「安ければいい」という時代はもう終わりにしなければいけません。
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