カーゴニュース 2026年7月30日 第5456号
ドライバーは交通安全、マナーのモデルに
――協会運営のポリシーをお聞かせください。
木南 原岡謙一前会長の急逝を受け、後任の会長を引き受けることになりました。就任し、まず協会職員の皆さんにお願いしたのは、「トラックドライバーの給与を上げることに貢献する協会であってほしい」ということです。もちろん協会職員は直接ドライバーを雇用しているわけではありませんが、協会の事業を通して、ドライバーの待遇改善につながる環境づくりに取り組んでほしいと伝えました。同様に、会員の皆さんも、1円でも給料上げられるような会社になってほしいと思います。
大きなトラックを安全に乗りこなすドライバーを見て、子供たちが「かっこいいな」と憧れても、実際にドライバーになろうとした時に、その給与のレベルにがっかりするようなことではいけません。私が子どもの頃、ドライバーの仕事は大変でしたが、それに見合う給与、待遇だったと思います。そうした形に少しでも近づけていきたいと思います。
――協会としてDXにも取り組んでいるのもユニークですね。シナジーマーケティング社が提供するクラウド型CRMシステムを導入し、会員2000社超との連絡業務の効率化を図っているということです。
木南 トラック自体はどんどん進化しているのですから、仕事のやり方も時代に合わせて変えなければいけません。役員の中でも若手の小西毅副会長にプロジェクトの担当になっていただき、福田和雄常務が各支部を回って、会員にメールアドレスの登録を呼びかけました。ようやく登録が全会員の70%を超えたところです。会員への通信手段をメール化し、会員からの回答は専用フォームで行い、集計もシステム内で行えるなど業務の効率化が期待できます。さらなるDXを目指し、増減車の申請手続きを最終的にはスマートフォンからできるようにする構想もあり、夢は大きく持っています。
――交通安全やドライバーのマナーアップ活動にも熱心に取り組まれているようです。
木南 交通安全は最重要テーマであり、健康経営も含めて安全対策には全力で取り組みます。先日、近畿トラック協会として、高速道路でいわゆる「黄金のペットボトル」(尿入りペットボトル)の回収活動を行いましたが、兵庫県交通共済協同組合、兵庫県貨物運送協同組合連合会、県の高速道路交通安全協議会とも連携してドライバーのマナーアップ活動に取り組んでいます。
「ありがとう」を意味する合図「サンキューハザード」を生み出したのは、昭和のトラックドライバーです。元来、トラックドライバーはそういった優しさを表現することができる人たちです。実際に狭い道に車で入ろうとした時に、停止してくれる車両はトラックが最も多い――とも言われています。令和の時代にもトラックドライバーが交通安全、マナーのモデルとなることを願っています。
ドライバーの安全貢献に報いる表彰制度を
――行政や荷主に対する要望はありますか。
木南 「Gマーク」を長期にわたって保持している事業者を、大臣表彰の対象にしてほしいと考えています。過去に、全ト協の理事会の場で提案したことがありましたが、国交省の方からは「Gマークで求められる事項は、できて当たり前」というご意見があり、表彰の対象にはしにくいというニュアンスのご回答をいただきました。「できて当たり前」と言われれば、そうかもしれませんが、Gマークを長期で保持していることは、安全に貢献していることの証です。Gマークを取得しているかどうかで、「適正原価」に差をつけてしかるべきではないかと思います。また、消防や警察、自衛隊は危険業務従事者叙勲の対象となっていますが、ドライバーは対象外です。エッセンシャルワーカーであるドライバーが30~40年無事故を継続し、安全に貢献してきたことに報いる表彰制度があってもいいのではないかと思います。
また、荷主の皆様には「コスト」ではなく「輸送品質」という切り口でトラック輸送を考えていただきたいと思います。どんなに安くても、スーパーの棚で袋が破れている商品を買う客はいません。トラック運送業界も「品質」で選ばれるのが本来のあるべき姿です。高い品質を保持したトラック運送事業者を「パートナー」として、ともに歩んでいただきたいですし、そうした事業者を育成するトラック協会でありたいと思います。 (インタビュアー/石井麻里)
木南 一志(きみなみ・かずし)
1959年1月3日生まれ。83年に新宮運送に入社。99年に社長に就任し、現在は取締役。24年9月から兵ト協会長。全ト協常任理事、近ト協副会長、兵庫県貨物運送協同組合連合会会長なども兼務する
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