カーゴニュース 2026年7月30日 第5456号
「TDK」は今後も維持、三菱倉庫との協業加速へ
――特積み業界では、1社単独でネットワークを維持し続けることが難しくなっています。同業他社を中心とした連携・協業についてのお考えをお聞かせください。
越智 おっしゃる通り、企業単独ではネットワークが成り立たない時代を迎えています。当社も組めるところとは積極的に手を携えていきたいと考えています。そのなかで、現在はトナミ運輸、久留米運送とともに、3社の頭文字を冠した「TDK」による協業を進めています。トナミ運輸は日本郵便グループに参画していますが、TDKによる連携は今後も維持していく方針を確認しており、3社で〝弱いところをカバーし、強いところを活かす〟関係をさらに強化していきます。また、セイノーグループや岡山県貨物運送などの同業他社ともエリアごとに協業を進めていきたいと考えています。
――23年11月に出資を受けた三菱倉庫との協業についてはいかがでしょうか。
越智 当社の三菱倉庫に対する売上は年率5割のペースで増えており、さらに伸ばすべく両社で定期的に協議を重ねています。例えば、三菱倉庫が他社に委託していた輸送業務について当社への切り替えを進めていただいているほか、当社がお客様から受託した国際輸送業務を三菱倉庫にお願いするといったかたちで案件を積み上げています。当社はこれまで、国際物流については積極的に対応できていませんでしたが、三菱倉庫という確かな委託先ができたことで、お客様に対して幅広い提案が可能になるシナジーが生まれています。
また、当社の既存顧客が新たな物流拠点を開設する際に、三菱倉庫の倉庫拠点を活用させていただく事例も出てきています。ロジ業務における新規案件についても複数の検討案件が動いており、今後は成約案件も増えていくことを期待しています。
――現中計では、最終年度となる27年度に営業利益率を3・8%まで高めることを目標にしています。
越智 25年度実績では2%に満たない水準にとどまっており、今後2年間で着実に利益を積み上げていく必要があります。そのためには、主力の特積み事業での利益率改善に加えて、ロジ事業をはじめとする特積み事業以外の比率を高めていくことがカギになります。現在の売上高ベースでの比率は、特積み7・5に対してそれ以外が2・5程度という構成になっていますが、27年度には7対3のレベルにしていきたいと思っています。
――M&Aに対するスタンスや基本方針について教えてください。
越智 限られたキャッシュのなかではあるものの、本業に近い案件、例えば輸配送ネットワークや倉庫拠点の維持・拡充に資する案件については前向きに検討していきたいと考えています。また、当社の委託先や協力会社で事業継続に課題を抱えた企業があれば、積極的に支援していく方針で、すでにそれに近い取り組みを行っています。
東北の社会インフラとしての「足」を守る
――ドライバーの採用拡大に向けてどのような取り組みを進めていますか。
越智 退職自衛官の採用を積極化しており、駐屯地に赴いて説明会を開くなどの取り組みを行っています。また、それ以外にもあらゆる採用ルートを通じて、新卒、中途を含めたドライバーの新規採用に力を入れています。一方、外国人ドライバーの採用については、前向きに検討しているものの、現状ではもう少し時間が必要だと考えています。外国人の雇用については、現段階では整備業務や倉庫作業での採用を先行させていく方針です。
当社は、地元である山形では知名度が高く、ドライバー職の採用にもそれほど困っていませんが、東京をはじめとするそれ以外のエリアでは苦戦しているのが実態です。山形で採用した社員を転勤させることができればよいのですが、彼らの多くは地元で長く勤務することを望んでいます。そうしたエリアごとの採用バランスの差が悩ましいところではあります。
――地域貢献という観点では先日、第一貨物と東北西濃運輸が山形県尾花沢市との間で災害時の物資輸送に関する連携協定を締結しました。
越智 当社にとって初の自治体との協定締結となります。社会インフラを担う物流事業者として、地域の安心・安全や防災力の向上に貢献していくことは重要な使命だと考えています。当社は東北エリアに数多くの拠点を構えており、例えば当社の倉庫で支援物資を備蓄し、有事の際に物資を緊急輸送するスキームを通じて、地域にもっと貢献できる可能性があると思っています。今回の協定締結を契機に知見やノウハウを蓄積し、地域貢献と事業化が両立できる最適解を探っていきます。
――「東北」の物流を守っていく気概を感じます。
越智 当社は東北を地盤として成長してきた会社であり、今ある拠点やネットワークを維持しながら、社会インフラとしての足を守るということを内外に宣言しています。人口減少や過疎化など現実的には厳しい面もありますが、同業他社が東北でネットワークを維持することはもっと厳しいとも思います。将来的に、他社からの集配委託などがさらに進む可能性もあり、東北エリアでの当社の占有率がさらに高まれば、別の局面が拓けていくことも考えられます。
越智 史朗(おち・しろう)
1964年9月11日生まれ。87年東北大経卒、同年三菱倉庫入社。執行役員企画業務部長を経て、2023年11月第一貨物取締役ロジ事業本部副本部長兼経営企画本部経営企画部長、24年4月常務取締役、25年4月輸送事業本部副本部長兼務、同年6月専務取締役輸送事業本部長、26年4月現職
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