鴻池会長

カーゴニュース 2026年8月4日 第5457号

大ト協/記者懇談会
「従業員と家族の幸せ守れる産業に」鴻池会長

「適正な利益水準の確保が絶対条件」

2026/08/03 16:00
全文公開記事 トラック輸送 団体

 大阪府トラック協会(鴻池忠彦会長)は7月27日、業界紙記者懇談会を開き、正副会長が所信を表明した。鴻池会長(鴻池運輸)は、「物流は社会を支えるインフラとしてその重要性があらためて問われている。その役割を将来にわたって果たしていくには、会員事業者が適正な対価を得て利益を確保し、従業員と家族の幸せを守れる産業でなければならない。その実現に向け、法整備を追い風に、荷主との交渉を進めること、必要な財源の確保に努めること、そして協会の運営をより透明で強いものにしていくこと――この3点にしっかり取り組んでいく」と抱負を語った。

 

法整備が整ったいまこそ現場で活かす行動を

 

 鴻池会長は大ト協の活動目的について、「会員各社で働く従業員とその家族の幸せを実現すること――この原点を何よりも大切にしたい。それを実現するための絶対条件は、会員各事業者が適正な利益水準を確保することだ。どれだけ志が高くても、利益が確保できなければ、賃金を上げたり、労働環境を改善したり、人材を育てることもできず、安全対策、車両投資、将来への備えも十分に行うことができない。しっかりと利益を確保することこそが従業員、その家族の幸せを支える土台だと考えている」と述べた。

 

 また、「物流業界を取り巻く制度環境は大きく前進している」とし、物流改正法、トラック適正化二法、取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)を挙げ、「事業者が正当な事業を行うための環境は以前よりもはるかに整っている。今後、最も大切なのは、事業者自身が荷主との交渉をしっかり行うことではないか。交渉がうまくいかない理由、あるいは交渉できない理由を探すことに時間を使うよりも、小さな一歩でも交渉をスタートすべき。まずは燃料費、人件費の上昇分の転嫁から話を始め、待機時間や附帯作業の実態をデータとしてお客様に示す、法改正の趣旨を共有する――そういったことから状況を変えられるのではないか。協会としても会員に対し、交渉を始めること、声を上げることの後押しをしていきたい。法整備が整ったいまこそ、それを現場で活かす行動が求められている」と述べた。

 

 運輸事業振興助成交付金について、「協会活動を支える大きな財源であり、安全対策、人材確保・育成、経営支援、そして災害時の緊急輸送体制、地域における各事業の推進のために極めて重要なものだ。今後はその使途実績と有効性をより明確にして、大阪府に対して丁寧に伝えていきたい。その上で交付金の100%給付をいただけるようお願いしていきたい。これは会員事業者の健全な経営を支え、ひいては、地域物流の安定と安全を守るための必要な取り組みだ」と強調した。

 

 協会運営について、「4月から本部と支部の一体運営を開始し、約3ヵ月が経過した。従来から本部と支部を含めてひとつの法人だったが、これまでの運用では支部ごとに会費を徴収し、独自に予算や決算を取りまとめるなど、あたかも本部と支部が別々の組織のように見える部分があった。今回の一体運営は、組織を新たにひとつにするものではなく、もともとひとつの法人であった実態に合わせて、いままで分かりにくかった運営上の仕組みや紛らわしかった部分を整理して改めた。支部独自の活動への影響に関し不安の声が一部にあるように聞いている。私は協会運営において大切なのは、全体最適と地域性の両立ではないかと考えている。法人としての透明性と効率性を高めながら、現場に最も近い支部の力を活かす――。この両方を実現することが求められる」と語った。

 

本部と支部一体で信頼される協会運営めざす

 

 古谷裕子副会長(総務委員会委員長)は本部・支部の一体運営について、「これまで各支部が築いてきた地域とのつながりや会員事業者との距離の近さを大切にしながら、より本部と支部が一体となってわかりやすく、信頼される協会運営を目指す」と強調。石原修副会長(交通対策委員会委員長)は、「エッセンシャルワーカーであるドライバーの社会的地位を向上させるには、安全対策を怠らず社会に貢献することが重要」とし、事故類型別対策、事故防止機器への助成、飲酒運転撲滅、ベテランドライバーへの対策などを重点対策に挙げた。

 

 坂中良郎副会長(経営改善委員会委員長)は、兵庫県トラック協会が金融機関と連携して始めた、協会独自の融資制度(利子補給事業)に言及し、「金利が上昇しているなか、より会員事業者のためになる融資制度の可能性を検討する必要がある」としたうえで、兵ト協が運転資金も対象としていることについて「賛否両論があることも含めて検討しなければならない」と述べた。

 

 中島仁志副会長(環境対策委員会委員長)は、「現状の環境対応車は事業者の満足のいくものが少ない。中小企業が多くを占めるトラック運送業界が環境対応車を導入するには、ディーゼルトラック同様の性能、価格、供給が担保される必要がある」と強調。福森崇文副会長(労働安全委員会委員長)は、健康起因事故防止対策に関し、「脳疾患は従来から助成対象となっていたが、今年度から心疾患も助成対象となった。予算額はまだ小さく、募集開始には至っていないが定着を促進していきたい」と述べた。

 

 谷康司副会長(組織・財政等特別委員会委員長)は「本部が所有する資産は会員のため、業界のために適切に維持・活用していかなければならない。修繕、耐震、維持、管理、収益性、利用方法など考えていく必要がある。協会財政の安定化、財政基盤の安定につながるよう十分に検討していく」と強調。

 

 また、当日欠席した坂本龍次副会長(広報委員会委員長)、髭幸治副会長(業界課題対策特別委員会委員長)の所信が和田真由美常務理事によって代読された。坂本氏は、「トラックドライバーは、大きな車両を安全に動かす技術、時間を守る責任感、荷物を大切に扱う心配り、道路状況を読む判断力など経験と技術が必要な仕事であり、立派な技術職。この仕事の価値をもっとわかりやすく、堂々と伝えていきたい」、髭氏は「幅広い課題について、これまでの慣例や前提にとらわれずに、若い世代の感覚、現場で感じている問題意識、会員事業者の声を持ち寄り、活発に議論していきたい」との抱負を示した。                 

 

 

正副会長が所信表明
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