カーゴニュース 2026年9月29日 第5470号
より持続可能で強じんなSCMを再構築
――具体的な重点取り組みについてはいかがでしょうか。
杉崎 当社はグループ商品を確実に“届け切る”ための中期の重点戦略として、「最適化物流」「事業拡充」「グループとの一体化」「サステナビリティ」の4つを軸に取り組みを進めています。
まず、「最適化物流」では、運ぶことが難しくなっている物流に対応し、拠点や輸送、物流コントロールのあり方を見直し、安定して届けられる体制を整備します。首都圏は「整備」、大阪は「拡大」、静岡は「拡充」という形で、エリアごとに選択と集中を進めていく方針です。これは単に拠点を増減するということではなく、グループの成長や物流環境の変化に合わせて、より持続可能で強じんなSCMを再構築していくものです。これまでの「当たり前」を変える視点も持ちながら取り組んでいきます。
「事業拡充」では、グループの拡大する物量のために整えた物流リソースや技術、ノウハウを最大限に活用していきます。グループ向けの物流品質や供給力を向上させることがまずは第一ですが、その基盤をより持続可能なものにしていくために、外部のお客様に対し当社のリソースを有効活用し、価値を提供していきます。なお、近年、グループの売り上げが順調に拡大しているため、外販売上比率は年々下がっていますが、外販の売り上げ自体は増えています。
私がとくに重要だと考えている戦略が「グループとの一体化」です。グループの目標をロジパルの目標としてとらえ、バンダイロジパル、ロジパルエクスプレス、海外子会社が一体となってグループのサプライチェーン全体を支える体制を強化していきます。「グループと同じビジョンへ」「グループとより深く」「経営面でも一体化」という言葉で表現していますが、まさにこれこそが今後の競争力の源泉となります。私自身もグループでの経験を活かしながら、同じテーブルでサプライチェーン全体を設計していくための連携と提案をより具体的に進めていきます。
「サステナビリティ」は、いわゆる環境対応だけでなく、ロジパルの企業価値を高め、国内外を通じて健全で持続可能な体制をつくるための戦略です。人材活用、データマネジメント、エンゲージメント、ガバナンス、安全・安心な職場づくりまで含めて、“守り”を強くすることで、結果として“攻め”を支える戦略にしていきます。「企業価値の向上」「より正しく」といった言葉で整理していますが、これは今後の成長を支える非常に重要な土台となります。この4つの戦略を実装していくことでグループ、外部のお客様にとってより信頼される企業をつくっていきたいです。
――ロジパルでは海外事業も展開しています。注目しているエリアや人材育成の方針についてお聞かせください。
杉崎 グループとして海外の売上比率は現在42%で、27年までに海外の売上率を50%まで引き上げるという目標があり、それに伴走する形でアジアを中心にロジパルの機能を充実させていく必要があります。玩具に関して言えば、インドは有望な市場であり、地産地消を進めていくなかで、ロジパルが現地に進出できる可能性があります。
また、海外人材については、新卒採用で海外志向が強い人材の採用や、トレーニー制度を利用して若手社員にできるだけ早い時期から海外を経験できる機会を設けています。
グループとロジパルが相互に価値を高め合う
――物流DXや人材育成等の取り組みについてはいかがでしょうか。
杉崎 これらは単なる効率化や教育施策ではなく、重点戦略を実行していくための重要な取り組みととらえています。
DXに関しては、物流の見える化とコントロールの強化を軸に取り組みを進めています。コントロールタワーの構築や各種システム導入により、物流全体の状況を把握し、より的確な判断とオペレーションにつなげていきます。これにより、拠点や輸送の最適化を図るとともに、グループや荷主との連携をより上流から高度化していくことを目指しています。
これらの取り組みをより一体で推進するために今期から「情報戦略部」を新設しました。物流データの活用やシステム基盤の強化を通じ、サプライチェーン全体を俯瞰しながら、意思決定を行う体制を構築し、現場と経営をつなぐ機能を一段と高めていきます。また、人手不足の中でも持続的に物流を維持していくため、データの活用や省人化・自動化にも取り組んでいます。
人材面では、当社の強みである現場力をさらに高めていくことが重要です。継続的な教育やコミュニケーションの拡充により、一人ひとりが成長できる環境づくりを進めます。とくにアミューズメント物流技術においては、業界ナンバーワンを自負しており、その技術を伝承する社内資格も充実させています。こうした「伝承」を大切にし、「ロジパルアカデミー」や教育推進部が機能しているのが、当社の人材育成の特長です。「ロジパルアカデミー」は従来集合研修のみでしたが、昨年度からeラーニングシステムを導入し、多様なコンテンツをいつでも好きな時間に学べるようにしました。
私自身がとくに大事にしているのは、「スピード」と「対話」です。意思決定や行動のスピードは最大の価値であり、同時に現場や関係者との丁寧なコミュニケーションを通じて気づきや成長を得ていくことが重要です。この両立が組織全体の力を高めていくものと考えています。
また、グループとの連携をさらに深めていくなかでは、単に業務を分担するのではなく、サプライチェーン全体を理解し、提案できる人材の育成が重要になります。荷主であるBANDAI SPIRITSをはじめとしたグループ各社とも対話を重ねながら、より上流の意思決定にも関与できる人材を育てていくことが必要です。営業だけでなくオーダーマネジメント部として荷主に入り込んだ部署があることも特徴のひとつです。
――最後に中長期的にありたい姿についてお聞かせください。
杉崎 中期計画ビジョンとして「The one and only logistics company~『ロジパルだからこそ』の価値を攻めと守りで実現する~」を掲げています。その根底にあるのは、グループと同じビジョンで未来を描き、ロジパルがそのサプライチェーンにおいて不可欠な存在であり続けること、また、グループとロジパルが相互に価値を高め合う関係を目指すという考えを示しています。
また、企業としては単に事業を成長させるだけでなく、人材、データ、ガバナンスを軸に企業価値を高め、「自慢できる会社」へと進化していくことも強く意識しています。ロジパルがいるからこそグループが安心して事業を展開できる――そんな言葉を常にかけられる会社になっていきたいです。
杉崎 晋哉(すぎざき・しんや)
1967年7月17日生まれ。東京都出身。92年3月立教大学経済学部を卒業後、同4月にバンダイに入社。キャンディ事業部デピュティゼネラルマネージャー、社長室ゼネラルマネージャー、ライフ事業部業務執行役員ゼネラルマネージャー、バンダイナムコグループのハート代表取締役社長を経て26年4月から現職
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