住所記入の負担を削減

カーゴニュース 2025年6月3日 第5343号

日本郵便
7ケタの英数字で住所入力を簡略化

「デジタルアドレス」開始、収益化も検討

2025/06/02 16:00
全文公開記事 宅配・ラストワンマイル 2024年問題

 日本郵便(本社・東京都千代田区、千田哲也社長)は5月26日、住所を7ケタの英数字に変換する新サービス「デジタルアドレス」を開始した。住所全文を簡易に表現することで、住所入力の簡略化や各種サービスの利便性向上につなげる。併せて、事業者向けにAPIを無料で提供し、外部サービスとの連携を通じて「デジタルアドレス」の利用拡大を推進。今後は新サービスの創出などによる収益化も視野に入れる。同日行われたオンライン説明会でDX戦略部長の財前幸一郎氏は、10年程度かけてサービスの成長を図るとした上で、「利用できるシーンを増やしながら利便性を示していくことで、新たな社会インフラとして周知していく」と述べた。

 

「ゆうID」から取得、個人情報保護にも配慮

 

 「デジタルアドレス」は、日本郵便が提供する「ゆうID」に登録している自分の住所を7ケタの英数字に自動変換し、取得・利用できるサービス。「ゆうID」の登録者が発行でき、Web上での住所入力の際に「デジタルアドレス」を入力すると、郵便番号を含む都道府県から町域、建物情報などが自動で反映される。現在はゆうパック・ゆうパケットの送り状作成機能で利用できる。

 

 従来の住所入力は、日本語特有の表記の揺らぎなどに伴う誤記といった問題を抱えていた。新サービスでは長く複雑な住所を書く手間を省くだけでなく、記入ミスの防止にも役立つ。日本語が難しい在日・訪日外国人や手書きが難しくなってきた高齢者が住所を扱う際の負担も軽減できる。また、「デジタルアドレス」からの氏名の特定や、氏名・住所からの「デジタルアドレス」検索などを防ぐ設計を採用したことで、個人情報の保護につなげている。

 

 削除や再発行も可能で、郵便番号と異なり、住所ではなく個人の「ゆうID」に紐づいており、引越し後に日本郵便に転居届を提出すれば、「デジタルアドレス」に登録されている住所も変更されるため、住所変更に伴う手続きも簡略化される。なお、「ゆうID」は現在、約1500万件の登録者を抱えている。

 

 さらに、デジタル庁が推し進める、誰でも利用可能な住所・所在地のデータベース「アドレス・ベース・レジストリ」と連携して「デジタルアドレス」に登録された住所を正規化し、緯度経度などの情報を含めた正確かつ最新の住所情報のデータ化にも取り組む。住所情報の精度を向上することで、住所不明による保管や再配達を抑制し、コスト削減や物流の「2024年問題」への対応につなげていく。

 

公式APIの無料提供で外部サービスと連携

 

 同サービスの開始と併せて、事業者向けに「郵便番号・デジタルアドレスAPI」の無料提供も開始。このAPIが導入されたWebサイトでも、郵便番号による住所の自動入力に加え、「デジタルアドレス」の入力による住所全文の自動入力が可能。事業者は各種申し込み、手続きなどの住所入力における顧客のわずらわしさを解消しながら、最新の住所情報を容易に取得・管理できる。現在、楽天グループやGMOメイクショップが一部の事業・サービスで導入を検討しており、日本郵便は今後、利用可能なシーンの拡大に伴う新サービスの提供や有料化による収益の創出も視野に入れる。

 

 加えて、将来的には有料で事業者向けの「デジタルアドレス」の発行も予定しており、部署や用途に応じて「デジタルアドレス」を使い分けられるようにするほか、7ケタの英数字のうち頭文字3文字を任意で選択できるようにすることで、企業のブランディングへの活用も可能にする。

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