カーゴニュース 2025年6月26日 第5350号
自動倉庫は約1時間に3・5万点を入出庫可能
出荷時には、注文を受けた商品を保管棚からピッキングし、コンベアで1階の出荷エリアへと搬送する。シングルオーダー(単品注文)の商品はそのまま出荷エリアへと運ばれ梱包・出荷などが行われる。マルチオーダーの商品は、2階に設置されたイトーキ製のシャトル台車式立体自動倉庫システム「システマストリーマー」(シャトル式自動倉庫)に一時保管され、出荷の優先度に応じて順立てをしてから出庫される。同自動倉庫は、5028コンテナ(約8万5000点)の商品保管に対応しており、1時間あたり約2100コンテナ(約3万5000点)の入出庫を可能としている。
出庫されたマルチオーダーの商品は、出荷エリアに整備された20ヵ所の投入口で「ポケットソーター」に投入され、自動で仕分け・荷揃えが行われた後、梱包用のステーションに運ばれる。配送先ごとに梱包された商品はコンベアで自動封函機へと運ばれ、封函後はクロスベルトソーターを通過して配送エリア別に仕分けられて出荷される。
今後は自動化機器の他拠点展開も視野に
同拠点では今後も、現場の継続した改善活動や追加のソフトウェアのアップデートなどにより、効率化のさらなる推進を続けていく考えだ。
桐山氏は「ソフトウェアの改修やUI(ユーザーインターフェース)の改善だけでも作業効率の向上が見込める。また、現場からのフィードバックを今後の設備投資計画や設計に反映していくことも重要となる。課題の抽出・解消を重ねることでさらなる効率化を実現できるだけのポテンシャルもある」と自信を持つ。
他方、「つくば3」で導入された自動化機器の他拠点への水平展開についても、可能性の高いものから検討を進めていく。「つくば3」の運用設計の段階から機器の他拠点展開を念頭に置いており、1社のベンダーにこだわらず自動化機器を選定したことも、機器の切り替えや他拠点での最適な展開に柔軟性を持たせている。「ポケットソーター」のように施設のスペースや運用要件による制約が厳しい機器もあるものの「『つくば3』のコンセプト自体は他にも転用可能。展開すべき技術を検討しながら、適切なタイミングで順次投資していく」(桐山氏)としている。
「つくば3」では庫内作業の自動化によりオペレーションの定点作業化を進めたことで、業務によっては妊娠中のスタッフや車椅子のスタッフでも作業が可能となるなど、雇用の幅が広がっているという。
なお、「つくば3」では快適な労働環境の整備も重視。その一環として、従業員専用の休憩室でユニークなレイアウトを採用しており、壁には筑波山をモチーフとしたイラストが描かれているほか、デニムなどの販売基準に満たない古着を再活用したアート作品を飾るなど、環境負荷の低減にも寄与している。
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