K-LINKの活用で「適正化」を推進

カーゴニュース 2025年7月31日 第5360号

ズームアップ
全軽協
「ロードマップ」で安全対策・法令遵守を推進

運行管理支援システムで「適正化」加速

2025/07/30 16:00
全文公開記事 宅配・ラストワンマイル 安全・BCP

「K―LINK」の普及で適正化を加速

 

 全軽協は、さらに一歩進んだ展開を図るため、デジタル技術を活用した運行管理支援システム「軽貨物物流情報連携プラットフォーム(K―LINK)」を開発。昨年12月に事業者向けにプレリリースし、今年1月からドライバーが活用できる形で本格的にリリースした。法改正により、事業者にはこれまで以上に法令・コンプライアンスに関する知識が求められるようになったが、日常の配送業務をこなしながら、法令に適合した書類作成を行うことは個人事業主にとって相当の負担となっている。こうした課題と向き合い、事業者の負担軽減など労働環境改善を図ることが「K―LINK」開発の狙いだ。

 

 「K―LINK」は運行管理支援を全般的に行える機能を持つクラウド型ツールで、毎日の車両点検の結果や乗務前・乗務後の点呼を簡単に記録する機能を備えるとともに、運行開始・終了時刻、走行距離、休憩時間などを入力すれば日報(業務記録)を自動生成する機能がある。万一事故が起きた際はガイドに沿って必要事項を入力することで所定の事故報告書を作成できる。ドライバーに多く利用されているコミュニケーションアプリ「LINE」とも連携しており、「K―LINK」の公式LINEアカウントを友だち追加すれば、LINE上から「K―LINK」にログインして様々な機能を使うことも可能。

 

 軽貨物事業に必要な業務をひとつのプラットフォームで管理できるオールインワン型のシステムとなっており、必要な数値などを入力すれば、点検・点呼記録や運行記録、各種帳票を作成できる。利用者は業務内容ごとに複数のソフトを使い分ける必要がなく、効率的な業務運営が可能となる。紙帳票のファイリングや手書きの手間が省けるだけでなく、クラウド上にデータが保管されるので紛失の恐れがない。

K-LINKは点呼記録や日報を容易に作成できる

 西田氏は「とくに個人事業主で昼食を食べる暇もないほど配送が忙しく、書類作成に割く時間を確保できないケースもあると聞く。『K―LINK』を活用すれば書類作成の負担を大幅に軽減でき、その分の時間をうまく活用できる。事業者法令遵守を容易にし、適正な事業運営を支援できるツールだ」と利点を語る。

 

 4月には「K―LINK」に荷主・物流子会社や元請事業者向けの「CLO機能」を追加した。CLO機能とは荷主や元請など業務を委託する側が管理画面を通じてドライバーの運行状況(稼働時間、免許・健康診断の有効状況、安全運転管理状況など)を一覧管理できる機能だ。これにより、元請け企業はサプライチェーン全体のコンプライアンスチェックが可能となる。仕事を頼みたい事業者の拘束時間・休憩時間などを把握でき、コンプライアンスを守って配送をしているのかが簡単にわかり、ドライバーの長時間労働の是正にもつながる。昨年12月のプレリリースから現在まで、全軽協の会員を中心に利用が拡大しており、来年3月末に3万アカウントの登録達成を目指す。

 

業界発展へ「ロードマップ」による施策を推進

 

 全軽協が3月に発表した「貨物軽自動車運送事業適正化推進ロードマップ」は短期(1年)・中期(3年)・長期(10年)の目標設定期間を定める。短期目標では、各事業者の法令順守や安全対策の実施状況などを評価し、結果を各事業者にフィードバックして、改善をうながす。また、「K―LINK」を通じて運行・取引データの収集と分析を行い、課題を抽出する。中期目標では、軽貨物事業者の過半数が法令遵守をクリアし、3割の軽貨物事業者がコンプライアンス遵守をクリアするなど「適正化」の目標を設定。全国規模で優良事業者を認定し、社会的信用を高める仕組みを確立する。長期目標では、法令順守を8割、コンプライアンス順守を過半数の軽貨物事業者が達成するとともに、優良事業者の割合が飛躍的に高まり、業界全体の安全・取引環境・社会課題対応の水準を向上させる。「K―LINK」については、業界の安全対策や取引環境の改善を担うプラットフォームとして定着させるとともに、省エネ走行や災害時対応にも活用するなど、運用を深化させ、軽貨物業界でのSDGs達成に大きく貢献する構想を掲げる。

 

「適正化推進運動」スタート、関係者の参画を呼びかけ

「適正化推進運動」Webサイトトップページ

 全軽協はこうした「適正化」の取り組みをさらに加速するため、今月から「適正化推進運動」をスタートした。専用のWebサイトを開設し、「適正化推進運動」への参加者を広く募っている。政府が展開する「ホワイト物流」推進運動などを参考としながら、軽貨物運送事業者に加え、荷主・物流子会社、元請事業者などサプライチェーンに関わるステークホルダーが幅広く参画することで、社会的インフラとなったラストワンマイル物流の持続的発展を目指していく。

西田代表理事
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