カーゴニュース 2025年9月2日 第5367号

FOCUS
国交省/26年度予算概算要求
物流部門は前年比2倍の52億円

〝物流革新〟の実現へ施策を強力推進

2025/09/01 17:00
全文公開記事 FOCUS 行政

 国土交通省は8月26日、2026年度予算概算要求を公表した。一般会計は7兆812億円(25年度予算対比1・19倍)、東日本大震災復興特別会計は367億円(0・60倍)、財政投融資は1兆6413億円(1・23倍)とした。そのうち物流部門が所管する予算は25年度当初予算の25億円に対し、2・1倍となる52億円を要求。国が定める30年度までの物流の「集中改革期間」に対応した抜本的・総合的な施策を推進する。

 

2030年度を見据え、物流課題の解消へ

 

 現在策定作業を進めている次期「総合物流施策大綱」は26~30年度の5ヵ年計画とするが、最終年度となる30年度を見据えて物流課題の解決に取り組むための予算要求とした。基本方針は、前年度予算の方針を踏まえ、「物流の効率化」「商慣行の見直し」「荷主・消費者の行動変容」を3本柱とした。

 

 「物流の効率化」は44億3200万円(1・9倍)。そのうち、陸・海・空の輸送モードを活用したモーダルシフトやトラックの中継輸送、ダブル連結トラックの普及、新幹線を利用した貨客混載、地域物流の結節点となる基幹物流拠点の整備等、日本全体の物流ネットワークの再構築に5億円、持続可能なラストマイル配送の提供に1億7500万円、自動運転トラックの社会実装に3億2700万円、物流分野の多様な担い手の確保・育成に4億7200万円。また、災害時を踏まえた物流拠点の機能強化に6500万円とした。

 

 「商慣行の見直し」は3億3400万円(4・9倍)。トラック運送業の取引環境の適正化や生産性向上に加え、ドライバーの賃金引き上げによる労働環境の改善に取り組む。具体的には、今年6月に公布されたトラック適正化二法の施行に向け、事業者の更新許可制度の実施や「適正原価」の設定のための調査を行う。また、多重取引構造の是正に向けた事業者間のマッチングの促進や、トラック・物流Gメンによる荷主などへの是正指導を実施する。

 

 「荷主・消費者の行動変容」は2億9500万円(14・8倍)。来年4月から始まる物流統括管理者(CLO)制度を踏まえ、荷主・物流事業者間のデータの可視化・共有化を促進し、適正な運賃収受、荷主と事業者の連携強化、物流コストに応じた商品価格の設定、発注量・納入量の平準化などを後押しする。加えて、宅配の再配達削減に向け、消費者の受け取り方の選択肢を多様化する取り組みを支援する。また、財政投融資を活用し、地域の産業振興やまちづくりにも貢献する基幹的な物流拠点の整備や、物流DX・GX関連の整備に対する支援を行う。

 

 国際物流分野では、日本・中国・韓国間でのパレット等リターナブル物流容器を利用したシームレスな物流実現のための実証や、コールドチェーン物流の国際規格のASEAN各国での普及に向けた活動を展開する。

 

陸・海・空のモーダルシフトにも注力

 

 政府の物流革新計画は、貨物鉄道やフェリー・RORO船など内航海運によるモーダルシフトの普及・拡大とともに、国内航空を利用した貨物輸送の利用促進に取り組むことを定めている。計画を踏まえ、とくに鉄道部門の予算では、貨物駅の災害対応能力の強化や、31‌ft大型コンテナを取り扱うことができる貨物駅の整備や機能強化を図る。また、自然災害による鉄道寸断に対応した代行輸送の拠点となる貨物駅の施設整備を計画的に推進する。さらに、鉄道へのモーダルシフトを加速する方策として31‌ft大型コンテナの取り扱いを拡大することに注力し、大型コンテナの導入や、貨物駅のコンテナホームの拡幅、大型コンテナの荷役作業を行う機器・車両の導入を支援する。

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