カーゴニュース 2025年10月16日 第5379号
コストの通関料金への価格転嫁の必要性を周知
財務省の寺岡光博関税局長は、2017年10月8日に導入された輸出入申告官署の自由化について、「輸出入を合わせた自由化申告件数は導入当初の約600万件から、24年には約3300万件と5倍以上に増加している」と報告し、同制度が物流の利便性向上や日本経済の活性化に大きく貢献していると指摘。
関税局・税関を取り巻く課題として、越境EC貨物の急増、米国の関税措置への対応、経済安全保障にかかわる輸出管理の徹底、中国の過剰生産に対するアンチダンピング措置などを挙げ、「これまでにない発想で大きな制度改正を行うほか、長期的な視点で定員、予算、資機材を拡充し、使命を果たしていきたい」と表明した。
さらに、「通関業者の役割はわが国の物流のインフラとしていっそう重要性が増している。通関業者の皆様が適正に業務運営を確保できる環境として、労務費等のコストを通関料金に適切に転嫁していくことの必要性の周知に取り組んでいくことが必要だと考えている」と強調。
続けて、「こうした問題は関税・外国為替等審議会関税分科会の下のワーキンググループでも議論している。今年はちょうど5年に1回の総合物流施策大綱が閣議決定を迎える年でもあり、先般、岡藤会長にも国交省のヒアリングに参加していただいた。通関業の重要性、昨今の環境の変化をそこに書き込んでいくよう調整を進めていく」とした。
世界税関機構(WCO)前事務総局長の御厨邦雄氏が乾杯の発声を行い、「世界の貿易の分断化が進んでいる中で、税関、通関業者が手を取り合って激変する環境に対応していかなければならない」と挨拶。中締めを山﨑元裕監事(ヤマタネ)が行い、「AEO(認定事業者)のような制度がコメの世界にあったらもう少しうまく流通したかもしれない」と語った。
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