カーゴニュース 2025年11月27日 第5391号

物流不動産市場を読む!

レポート
物流不動産市場のトレンドを読み解く

需給バランス、開発の新潮流は…

2025/11/27 06:00
全文公開記事 倉庫・物流施設

トレンド⑤

都市部中心にオフィス利用やショールームなど多用途化

 

 都市部の開発案件を中心に、物流施設としての機能だけでなく、各種物流ソリューションのショールームや研究機関、オフィス利用など用途が多様化しつつある。立地の強みを活用し、物流DX支援の強化や多彩なニーズへの対応で差別化を図る狙いがある。

 

 プロロジスが開発する都市型物流施設「プロロジスアーバン」シリーズは、ラストワンマイル配送拠点としての機能に加え、オフィスやショールームとしても利用可能な区画を設けている。4月には「プロロジスアーバン東京押上1」内に、インキュベーション施設「inno-base TOKYO-OSHIAGE」をオープンした。

 

 野村不動産は、物流オペレーション最適化に向けた企業間共創プログラム「Techrum(テクラム)」の導入効果検証拠点「習志野PoC Hub」を、「Landport習志野」内に開設。100社以上のメーカーによる物流ソリューションの展示や実証、事業者とのマッチングを行う。

野村不動産は習志野市に物流ソリューション導入効果検証拠点を開設

トレンド⑥

半導体需要や中継拠点…地方で開発需要が活発に

 

 北海道および九州地方では、近年の大手半導体メーカー、半導体関連企業の進出により物流施設の開発需要が高まっている。北海道では、CBREが9月、苫小牧市に危険物倉庫の開発用地を取得。また、大和ハウス工業は北広島市に4件の施設を開発済みで、今後は「DPL札幌南V」「札幌南Ⅵ」の開発を予定している。

 九州地方では、日本GLPが「GLP福岡ICプロジェクト」として福岡県粕屋町に、28年までにかけて複数棟の施設開発を予定しており、総延床面積は最大で15万㎡となる見込み。加えて、佐賀県ではプロロジスが基山町で「プロロジスパーク基山2」(10万㎡)の竣工を28年末に予定。ESRも同町に「ESR基山町ディストリビューションセンター」(6万5987㎡)の竣工を26年2月に予定している。

 

 半導体産業が集積する熊本エリアでは東京建物が熊本県で「熊本戸島物流施設PJ」(7万2720㎡)を27年6月に、「T―LOGI熊本戸島」(5万4180㎡)を29年末に開発する予定。さらに、JR貨物や西日本鉄道などの地元企業も物件開発に乗り出している。

 

 「2024年問題」への対応を目的に、地方では長距離幹線輸送の中継拠点として活用できる物流施設への関心が集まっており、とくに中部・関西~九州間の中間に位置する中国地方や太平洋側~日本海側などをつなぐ北陸、首都圏と東北をつなぐ北東北で需要が増加している。日本GLPは岡山県早島町での開発を加速しており、2月には同町3件目となる「GLP早島Ⅲ」を竣工。26年5月には「GLP早島Ⅳ」の竣工を控えている。北陸では、大和ハウス工業が石川県白山市で「DPL石川白山」の竣工を26年9月に予定。東北では、三井不動産が宮城県名取市に「MFLP仙台名取Ⅰ」を4月に竣工し、中継拠点としての利用を見込んでいる。

日本GLPは福岡に15万㎡を新設

トレンド⑦

物流課題解決へ、「次世代トラック」との連携加速

 

 「2024年問題」などの輸送力不足を解決する施策として、自動運転トラックやダブル連結トラックなどの「次世代トラック」の活躍が期待されている。こうした車両のスムーズな運用に向けた新たな物流施設の開発や運営会社による協議会発足などの取り組みが進んでいる。

 

 三菱地所、東急不動産、シーアールイー(CRE)の3社は横浜市瀬谷区に、自動運転トラックによる幹線輸送など新しい物流システムに対応した高速道路IC直結の「次世代基幹物流施設」(延床面積約70万㎡)の開発を決定。横浜市が整備を検討している東名高速道路のICに直結した専用ランプウェイを設けることで、ダブル連結トラックや自動運転トラック等の次世代モビリティが高速道路から一般道に下りることなく利用可能な施設整備を目指す。

 

 TRCは5月、「TRC東京流通センター」(東京都大田区)を拠点とした「平和島自動運転協議会」を自動運転開発企業など5社と共同で発足した。同協議会はトラックや乗用車の自動運転技術・サービスの開発に向け、参加企業間で連携しつつ、実証実験を中心に活動していく。8月には10社、10月には11社が新たに参画している。

三菱地所などが横浜に開発予定の「次世代基幹物流施設」(完成イメージ)

トレンド⑧

物流会社が物流不動産開発に参入も

 

 近年、建設費の高騰などを理由に、デベロッパー間で物流施設の共同開発が増えている。ここへ来て、物流会社が共同開発に参画し、物流不動産事業に参入する例も出てきている。住友倉庫は1月に三菱地所、JR九州と共同で、埼玉県三郷市で大規模マルチテナント物流施設「ロジクロス三郷」を着工。住友倉庫は今年度を最終年度とする中期経営計画において、不動産事業の事業領域を販売事業にも広げ資産回転型ビジネスの拡大に努めており、今回の開発計画は住友倉庫としては不動産事業において初の物流施設開発となる。

 

 吉田海運ロジソリューションズとJR九州は2024年5月、福岡県苅田町に物流施設開発用地を共同で取得した。両社は23年に物流施設の共同開発・所有に関する協定書を締結しており、これが初の共同開発となる。さらに両社は今年8月、北九州市小倉南区でも物流施設の共同開発プロジェクトを開始した。

 

 なお、澁澤倉庫もデベロッパーと連携した物流不動産開発への本格参入を検討するなど、今後も物流会社との共同開発事例の増加が見込まれる。

吉田海運GとJR九州は福岡県で共同開発(完成イメージ)
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