カーゴニュース 2026年1月20日 第5403号
幹線自社化でECの物量波動を吸収へ
――ECを中心とした法人領域への対応についてはいかがでしょうか。
阿波 ネットワークをはじめとする足回りをしっかり固めた上で、上流工程へのソリューション提案を強化していきます。そのために法人ビジネスを成長の柱に据え、事業部制を採用しました。配送だけにとどまらず、CL(コントラクトロジスティクス)事業にも力を入れて成長を速めていく必要があります。その一環として、昨年10月に仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能を一体化させた統合型ビジネスソリューション拠点を福島県郡山市に開設しました。さらに、需要拡大が続く越境ECについての対応も加速させていきます。
――ネットワークを維持していくためには、ドライバーを確保することが大前提になります。
阿波 マクロの労働人口が確実に減っていくなかでも一定数のSDを採用し続け、育てていく必要があります。また、ラストマイルだけでなく、幹線輸送におけるドライバー人員の確保も大きな課題です。現在、全体の物量の約4割が関東圏で発着しており、そのうち約9割の幹線輸送をパートナー企業に委託しています。これを一定の割合まで自社輸送に切り替えていくことを検討しています。
物量の大半を占めるEC荷物は日々の出荷量の波動が大きく、予測出荷量と実際の物量にずれが生じることも少なくありません。現状では予測データをもとにパートナー企業にあらかじめ便数を確保していただいていますが、出荷量が予測値を下回った場合でも業務委託費を支払わざるを得ず、コストが高止まりする原因のひとつになっています。幹線輸送を、一定程度の比率でグループの自社車両により運ぶ体制にすれば、仮に3回転が2回転に落ちても固定費は変わらず、繁閑による波動を吸収できるようになります。EC荷物とうまく付き合っていくためには、上流工程から業務量をコントロールしていく取り組みも大事ですが、幹線輸送に柔軟性を持たせることも不可欠です。
そのための方策のひとつとして、昨年11月に特定技能制度を活用したベトナム人大型トラックドライバーの採用・育成に関する取り組みを開始しました。これだけで必要となる幹線ドライバーを確保できるかどうかは未知数ですが、ひとつのチャレンジとして力を入れていきます。ちなみに、ラストマイル領域での外国人ドライバーの採用は、お客様との会話や商談などより複雑なコミュニケーションが必要であり、現段階では時期尚早だと考えています。
これからも社会課題に向き合い続ける
――最後に、これからの宅急便についてのビジョンや抱負をお聞かせください。
阿波 これまでの50年間、宅急便を利用し、育てていただいたお客様や、サービスを支えていただいたパートナーの皆様には心から感謝を申し上げたいと思います。時には厳しいお声を頂戴することもありますが、それも我々に対する期待の表れだとありがたく受け止めています。宅急便というサービスのパッケージはある程度確立されており、これからもそう大きく変わることはないと思います。ただ、そのなかでも社会課題や地域の困りごとに対してこれまで以上にしっかりと向き合うととともに、法人領域に対してもしっかりとしたソリューションを提案して「運ぶ」に+αの価値を加えていきたいと思っています。それが我々にとってのチャレンジであり、そのことを通じてお客様や地域から選ばれる宅急便であり続けたいと心から思っています。
阿波 誠一(あわ・せいいち) 1993年法政大学社会学部卒、同年ヤマト運輸入社。高知主管支店長、経営戦略部長を経て、2015年4月執行役員、17年4月常務執行役員、20年3月ヤマトシステム開発社長、24年10月専務執行役員、25年4月現職に就任。1970年生まれ、55歳
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