カーゴニュース 2026年3月12日 第5418号
EPA利用拡大へ通関士の専門知識活かせ
――関税によってグローバルサプライチェーンの混乱が続いていますが、その中で関税の引き下げに効果を発揮する、EPA活用の意義についてどのようにお考えでしょうか。
寺岡 EPAは関税の引き下げのみならず、幅広い分野で貿易の円滑化と拡大に寄与する制度です。関税の撤廃や削減だけでなく、サービス貿易の自由化や知的財産の保護、通関手続きに関するルールの形成といったものがEPAには含まれており、わが国としてはこれを活用することで海外の成長市場を取り込み、日本経済の基盤を強くすることが望まれます。関係省庁とも連携し、積極的にEPAの活用促進を図っていきたいと考えています。
具体例を挙げますと、たとえばEPAによって関税が下がることで、安価に外国の製品やサービスを利用できるほか、輸出面でも日本の製品の価格競争力が向上し、農水産品の輸出拡大にも寄与します。関税以外のルール分野でも22年に発効したRCEP(地域的な包括的経済連携)では、可能な限り48時間以内に通関を許可し、生鮮食品等については 6時間未満での貨物の引き取りを認める義務が盛り込まれています。
――中堅・中小企業ではまだEPAの活用が進んでいないとも言われます。日本通関業連合会に「EPA関税認定アドバイザー制度」が創設され、財務省としても後援されています。最後に同制度へのご期待をお聞かせください。
寺岡 EPA利用が伸び悩んでいる理由としては、そのメリットが分かりにくかったり、原産地規則や関税分類等に関する知識が不足していること、特恵税率適用する際に否認されるリスク、そもそもEPAの利用について気軽に相談できる専門家が不足していること――などが挙げられます。
そうした中で、通関士はまさに関税ルールの専門家です。通関士の皆様がその専門知識や知見を活かして、「身近な専門家」として企業の状況に応じたEPA特恵関税の活用に関しアドバイスを提供し、輸出の拡大に貢献していくことは非常に意義があることだと思っています。関税局としても「EPA関税認定アドバイザー制度」の周知に積極的に取り組みたいと考えています。
貿易を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、通関士の皆様の専門知識を活かせる領域が広がってきています。通関士の専門知識を活かせるひとつのあり方が、このEPA関税認定アドバイザーだと思います。こうした新しい制度にどんどんチャレンジしていただき、通関士のアドバイスによって企業の輸出拡大、ひいては日本経済の拡大につながる――。こうした良いサイクルを回していけるよう、関税局として応援していきます。
寺岡 光博(てらおか・みつひろ)
1991年大蔵省(現財務省)入省(国際金融局調査課)。内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)、内閣総理大臣秘書官(政務)、主計局次長、大臣官房総括審議官を経て2025年7月から現職
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