カーゴニュース 2026年3月26日 第5422号
――安全の再確立に向けて、組合としてどのように取り組んでいきますか。
村上 中央本部と地方本部に「安全確立闘争本部」を設置するとともに、職場と密接に関わる支部・分会でも「原因究明委員会」を立ち上げ、原因究明に加えて、再発防止に向けた運動をつくり出していきます。それが今回の事故に対する、我々がやらなければならないことだと考えています。
ご指摘のように、このところ多くの事故が発生しています。ハインリッヒの法則――1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件のヒヤリハットが存在するという法則ですが、振り返ればその29件に該当するような事象がかなり発生していました。もちろん、そうした事象のひとつひとつには対応してきたものの、それら一連の事案を俯瞰して、重大事故が発生する前兆として捉え切ることができず、結果として南長岡駅の重大事故を引き起こしてしまいました。そうした反省点をしっかりと受け止めたうえで、労使一体で対策に取り組む必要があると考えています。
――社員の安全意識を再徹底するとともに、職場風土を変えていく必要がありそうです。
村上 私たちは「安全」といいながらも、どうしても「作業」や「効率性」を優先しがちです。長く仕事に従事していると、作業時間やダイヤのことを最優先に考えてしまう思考回路が自然にできあがってしまい、遅れて入ってきた列車を定時に発車させることが〝腕の見せ所〟といった職業意識がいつの間にか培われています。しかし、それではダメなのです。仮に列車が遅れて入ってきた場合でも、焦らず余裕も持ちながら作業を行い、遅れたままで発車させても構わない――そうした職場風土に変えていかないと、また同じような事故が起きてしまいます。さらに、親御様のご指摘のように、人が添乗しない入換作業がどうしたら可能になるのか、できない理由ではなく、作業のあり方自体を疑っていくという意識の転換が不可欠です。会社も組合も「JR」という大きな箱の中で同じ思考回路に陥ってしまっていることを強く認識し、具体的な取り組みから変えていくべきだと思います。
65歳定年延長で新たな課題が浮上
――人事制度についてうかがいます。65歳定年制の導入に伴い、人事制度の見直しが進んでいます。
村上 19年度から新たな人事制度がスタートし、さらに昨年7月には65歳定年制への移行を含めたかたちで人事制度が修正されました。そのなかで様々な課題が浮かび上がっており、現在、中央本部としてそれらを集約している段階です。いちばんの課題となっているのが、基本給の基準額が上限に達すると、その後の定期昇給がこれまでの昇給額表の6割から1割にダウンしたことです。基準額そのものが引き上げられたことは確かですが、上限到達後の昇給率が大幅に引き下げられたことで、組合員からは「これではモチベーションが保てない」との声が多く集まっています。
また、60歳から65歳までの働き方についても、「現役と同じように働くのか」という疑問が示されています。会社側は、現役と同じように働いて100%の賃金を支払うコースと、賃金は一定程度減額されるものの休みが増える働き方の2パターンを用意していますが、ほとんどの社員が前者を選択しています。しかし、62~3歳になると体力が急激に落ち、運転士などを中心に心身の負担が想像以上に増しているのが現実です。会社は「ノーワーク、ノーペイ」の原則で、給与を支払う以上は働いてもらうというスタンスですが、果たしてそれでいいのかという課題はあると思っています。
さらに、評価制度に対する課題も寄せられています。社員は昇格するためには試験を受ける必要がありますが、受験資格を得るために必要となるポイント数が大きいため、資格を得るまでにかなりの年月を要してしまう実態があります。これもモチベーション維持に大きく関わるテーマです。
――65歳定年制への移行は必要ですが、そのための細かい制度設計に課題が残るということでしょうか。
村上 年金支給開始年齢が65歳に延長された以上、65歳まで定年を延長することは当然であり、そうした制度改正については組合としても賛成です。ただ、労働者としての働き方、とりわけ60歳以上の社員の働き方は一定の配慮をもって考えていく必要があります。会社側も、定期的に検証しながら見直しを含めて検討していくと言っており、これがベストな制度だと明言しているわけではありません。今後も会社と交渉を続け、見直すべきところは改善を求めていきます。
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