カーゴニュース 2026年3月26日 第5422号

インタビュー
安全の再確立に向けた取り組みを強化していく
JR貨物労組 中央執行委員長
村上貴史 氏

2026/03/26 06:00
全文公開記事 貨物鉄道・通運 人材・働き方・賃金 インタビュー

ベア1万8000円要求はむしろ低いくらい

 

 ――26春闘がスタートしていますが方針を教えてください。

 

 村上 2月18日にベア1万8000円の要求を申し入れするとともに、113項目に及ぶ職場改善要求を併せて提出しました。職場からの闘いを背景に団体交渉を積み上げていくことで、満額獲得を目指していきます。

 

 今回の春闘の最大の特徴は、上部団体であるJR総連が「労連春闘」と位置づけていることです。鉄道5単組が交渉をリードし、5連協(5単組連絡協議会)がその勢いを加速させ、労連各単組への波及効果を生み出そうという考え方です。JR貨物労組も当然ながらJR貨物労連の一員であり、今春闘をリードできるように交渉を強化していきます。

 

 私たちを取り巻く状況は、物価高騰や株高、長期金利の利上げ、円安の影響によって可処分所得は目減りしている一方、消費者物価指数や社会保障費は上昇を続けており、実質賃金は下がり続けています。また、産業別賃金比較を見ると、全産業平均を100とした場合に、交通運輸産業は85という低水準にとどまっています。この状況は何としても打開しなければなりません。さらに、欧米など海外先進国の交通運輸産業の賃金水準は平均1000万円を超えており、いかに我々の賃金が低額に据え置かれているかがよく分かります。そうした状況を踏まえれば、ベア1万8000円という要求額は決して高いものではなく、むしろ低いくらいだと私は思います。こうした認識を組合員としっかり共有したうえで、闘いを自らのものとしてつくり出していく必要があります。

 

 他方、全国規模で貨物鉄道事業を営んでいるのはJR貨物だけであり、社会的使命をまっとうしなければならない責務を負っています。我々だけが持っている優れた技術・ノウハウを将来にわたって維持・継承するためにも、賃金水準を引き上げることで、鉄道貨物輸送を担う新たな人材を獲得していかなければなりません。会社側にはこうした責任も強く認識してほしいと思います。

 

 ――「労連春闘」と位置づけたということは、鉄道単組が獲得した成果が必ずしもグループ会社にまで行きわたっていないという課題認識があるということでしょうか。

 

 村上 そういうことです。前回の春闘では、JR貨物労連加盟の3単組がベアゼロという結果でした。また、加盟するグループ各単組の結果を平均しても、それほど大きな還元を受けたという実感は乏しいと思います。

 

 例えば、フォークリフトでコンテナを貨車から積み降ろすという鉄道事業に不可欠な作業を担っているのは全国のロジ会社であり、JR貨物本体にはこの能力はありません。しかし、取扱量は年々増えているにもかかわらず、ロジ会社への業務委託費はずっと据え置かれたままです。こうした重要な機能で鉄道貨物輸送を支えているグループ会社の社員の賃金を引き上げるためにも、まずはJR貨物労組がしっかりと交渉をつくり出して、その波を労連に波及させていきたいと考えています。

 

 ――18日に会社側からの回答がありましたが、率直な受け止めをお願いします。

 

 村上 約1ヵ月に及ぶ交渉の末、会社は最終回答として「ベースアップ4100円」を提示しました。私たちがJR総連春闘として要求した1万8000円には到底及ばない額であるとともに、政治・経済状況の不安定化がさらなる物価上昇や社会保障費の増額へと転嫁され、厳しい生活を強いられている組合員の思いからすれば、さらなる上積みが必要であり、粘り強く会社に再考を求めましたが、結果は変わりませんでした。しかし、昨年の妥結結果の倍以上のベアを獲得できたことは、厳しい要員需給のなかで職場からベア満額獲得を目指して取り組みをつくり上げていただいた組合員の皆さんと、中央本部の交渉が結合して生み出した成果だと認識しています。貨物労連加盟の各単組の交渉に少しは良い波及効果が生まれれば、JR総連が掲げた労連春闘に貢献できたのではないかと思っています。

 

 また、職場環境改善要求についても、何点かの項目について前進を確認できましたので、中央本部として妥結を判断しました。組合員の生活実感に照らし合わせれば、まだまだ不十分ですので、次の夏季手当交渉をはじめ、組合員の賃金・労働条件改善に向けた取り組みを引き続き強化していきたいと思っており、その成果を6月に開催予定の定期全国大会に持ち寄れればと考えています。

春闘方針を決めた定期中央委員会(1月)
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