注目のスタートアップ! トップが語る物流DX
配送マッチングサービス「PickGo」などのラストワンマイル事業で急成長を続けるCBcloud(CBクラウド、本社・東京都千代田区)。今年1月には国内最大規模の求荷求車サービス構築を目指し、トランコムとの資本業務提携を発表。3月には同社初の物流倉庫を開設し、配送領域の拡大を進めている。松本隆一代表取締役CEOに同社が目指すビジョンや将来の方向性について話を聞いた。(インタビュアー/松浦優樹)
提携を軸に補完関係を構築
――あらためて、御社の事業概要を教えてください。
松本 「ドライバーの価値向上」を会社のビジョンに据えて、個人事業主のドライバーの方々が適切な対価で、個々の働き方に合わせて直接仕事を選べる配送マッチングサービスを提供しています。
現在、「PickGo」には軽貨物ドライバー約3万5000人、2輪車やバイクなど約1万台、一般貨物事業者約1000社が登録しています。これは他のラストワンマイル事業者と比べても多く、とくに緊急配送の依頼に対し、豊富な配送力を提供することが可能です。
――トランコムとの資本業務提携に至った経緯を教えてください。
松本 当社は比較的近距離のラストワンマイル配送に強みを持っていますが、幹線輸送に対してどのように価値を見出していくのかという課題は以前から社内で共有されていました。そうした中で、トランコムと対話をする機会があり、我々がラストワンマイルを得意とし、トランコムが幹線輸送に強いことから、互いに補い合うことで大きな配送インフラを構築できると判断しました。
加えて、物流業界の価値を向上させたいというトランコムの考え方にも強く共感しました。各々が独自に取り組むよりも、両社が手を組んだほうがより短い期間で、業界全体の価値向上を実現できるとの考え方で合意しました。
今後、新たに提携する企業が出てきたとしても、物流業界に対する基本的な考え方が合致しなければ提携は難しいと思っています。物流業界やドライバの価値向上というのが当社の揺るがない思想の柱となっており、そこをブレさせるわけにはいきません。逆に言えば、そうした基本的な考え方が同じ企業であれば、積極的に手を組んでいきたいと考えています。
――3月に初の物流施設となる「CBcloud川口デポ」を開設しましたが、倉庫開設にはどのような狙いがありましたか。
松本 ドライバーの価値向上を常に考えており、配送についての多種多様な仕事を提供したいと思っています。そうなると、これまでの緊急配送だけではなく、配送の領域をさらに拡大していく必要がありました。また、荷主の倉庫から出荷される荷物を配送する際、倉庫周辺エリアへの迅速な配送には対応できても、それ以上の距離での即日配送は対応しきれていませんでした。
そこで川口デポでは、EC貨物を23区内のエンドユーザーに向けて即日配送するための仕組みを構築しています。
今回の倉庫開設は大手配送事業者の仕事を奪うことを目的としたものではありません。当社が提供する配送インフラの価値は、一定のエリアに向けて短いリードタイムで配送するという部分にあります。川口デポからの配送も、大手が対応しにくい配送領域をカバーすることを狙いにしています。こうした補完関係を築くことが、物流業界全体の価値向上につながると考えています。
――第2、第3の拠点開設は考えていますか。
松本 現時点ではまだ具体的な構想はありません。今後、新しいニーズが顕在化したり、拠点開設を通じて別の価値が見い出せる状況になれば、検討の余地は十分にあると思っています。
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