注目のスタートアップ! トップが語る物流DX

インタビュー
物流とドライバーの価値を向上させたい
CBcloud
代表取締役CEO松本隆一氏

提携と倉庫開設で配送インフラを拡大

2022/04/12 07:00
全文公開記事 宅配・ラストワンマイル インタビュー

機能拡張でドライバーのサポート環境を整備


 ――中長期構想では「配送マッチングプラットフォームから配送プラットフォームへと進化する」とおっしゃっています。そうした目標の実現に向け、現行サービスの機能拡張や新サービスのリリースについてはどのようにお考えですか。

 

 松本 当社のサービスが配送インフラへと進化するためには、配送パートナーの多くを占める個人事業主からの信頼が不可欠です。そのためにも、彼らがより仕事を得やすい環境を目指した機能拡張をしていきたいという思いを強く持っています。

 

 たとえば、ドライバーの翌日のスケジュールが埋まっていなかった場合、こちら側でスケジュールを組み、翌日の配送プランを提示するといった仕組みの構築を検討しています。

 

 また、車両が故障した場合にもすぐに修理に対応したり、保険に入れるようにするなど、個人事業主である彼らの諸課題を解決し、安心して働いてもらえる環境を整備していきたいと考えています。


 ――3月から「PickGoエクスプレス」の動画CMがTVとWebで放送されています。今後、メディアを利用したプロモーション活動をどのように展開していくのでしょうか。

 

 松本 初めてのマスプロモーションなので、現在は効果を分析している最中です。今後の方針については現在、社内で議論していますが、ドライバーにより多くの仕事を供給していくためにも、広告戦略による知名度アップは不可欠です。広告形態やタイミングなどは、データを参考にこれから検討していきます。


 ――現在、沖縄や大阪に支社を設けていますが、今後の他エリアへの支社の開設予定があれば教えてください。

 

 松本 福岡や名古屋にも営業拠点を設けようという考えは持っています。ニーズ次第では関東以北への進出もありえますが、現在は東名阪エリアや福岡を中心とした九州エリアでの拠点拡大を重点的に進めていく予定です。


 ――沖縄では那覇市と宜野湾市に支社を設けています。松本CEOは沖縄出身ということもあり、思い入れがあるのでしょうか。


 松本 事業を継続させていくうえで、重要なのは人材確保ですが、都心部だとITエンジニアの奪い合いになってしまい、スタッフの確保が難しくなることも考えられます。その中で今後、人口が大きく伸びると言われているのが福岡と沖縄であり、人材確保に可能性を感じています。ITエンジニアは働く場所にこだわらない傾向があるため、長期的な視点から、東京の一極集中ではなく、地方の優秀なITエンジニアや、ITエンジニア志望者を採用していきたいと考えています。採用後の待遇などは都内と同水準に据えています。

 

 また、単なる採用拠点としての利用ではなく、地方で新たな事業を創出したいという思いもあります。沖縄は育ててもらった土地ということもあり、本社にも私と同郷のスタッフが数名いますが、「沖縄に恩返しがしたい」という気持ちを共有しています。

 

 加えて、将来的な海外展開を見据えたときに、沖縄は優秀なハブ拠点になる可能性を秘めており、配送事業を行うには良い土地だと思いました。今後も実証実験などを通して、県内配送の仕組み作りを強化していくことを検討していきます。


全てのドライバーから選ばれるプラットフォームに


 ――あらためて、CBcloudの「強み」はどこにあるとお考えですか。

 

 松本 多くのドライバーとのネットワークを構築できたことです。これまで個人事業主のドライバーは〝早い者勝ち〟で仕事を手に入れる要素が強かったのですが、それではドライバー個々人の努力や能力があまり反映されませんでした。しかし、「PickGo」では各ドライバーの配送品質をスコアリングすることで、スコアの高いドライバーが仕事を得られやすい環境を整え、努力が報われる仕組みを作りました。加えて、業界では初となるドライバーへの配送料の即時入金を導入しています。こうした取り組みが評価されて多くのドライバーに参加してもらえるようになったことが、当社にとって大きな価値となっています。


 さらに、自前のエンジニアを抱えることで、柔軟性のある仕組み作りができるという面でも優位性を発揮しています。従来の運送会社の場合、荷主からITの領域でサポートしてほしいと要望があってもなかなか対応ができない部分がありましたが、当社では利用者からサービスの仕様変更の要望があった際にも柔軟かつ迅速に対応できます。また、他社からのシステム構築依頼にも応えられます。


 また、当社では社内に24時間365日対応できるサポート部門を抱えています。ドライバーと荷物をマッチングして終わりというわけではなく、運行の責任まで背負っています。ドライバーへのサポートや教育なども自前でやれるのも強みのひとつだと思っています。


 ――最後に会社の成長ビジョンを教えてください。

 

 松本 日本にいるドライバー全員が「PickGo」を利用する状況を生み出したいと考えています。現在、全国の軽貨物ドライバーの2割弱が「PickGo」を利用していますが、将来的にこれを10割にしていきます。全国の荷主に対し、柔軟性のある配送網を提供するためにも、ドライバー全員から選ばれるプラットフォームへの成長を目指していきます。

多様な配送ニーズとドライバーをつなぐ

松本 隆一(まつもと・りゅういち)


 1988年沖縄県生まれ。2007年航空保安大学校入学と同時に国土交通省に入省。09年から羽田空港で航空管制官として勤務。13年に退省後、義父の経営していた運送業を引き継ぎ、同年10月CBcloudを設立

1 2
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
  • バックナンバー

日付で探す

* 毎週火曜日・木曜日発行。(祝日は休刊)

第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 富士物流のホームページにニュースを提供中!! INNOVATION EXPO 第1回九州次世代物流展 日通NECロジスティクス提供 物流用語集