カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号

インタビュー
自動化や共同配送で物流効率化を推進
福助ロジスティクス 代表取締役社長 岩男史朗 氏

ノウハウ強みに全国へ〝福〟を届ける

2025/09/30 07:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 インタビュー

 足袋・靴下などのアパレル小物メーカーとして高い認知度を誇る福助の物流子会社であり、豊田通商傘下でグループの物流も担う福助ロジスティクス(本社・堺市堺区、岩男史朗社長)は、長年の実績に基づいたノウハウを強みに業容を拡大し、全国規模の物流事業者としての成長を目指す。人材不足などの物流課題に対し、自動化や共同配送を通じた物流効率化を進め、現場改善とサービス品質の向上の両立を図る。今後の成長戦略と企業の将来像について、岩男社長に話を聞いた。

(インタビュアー/松浦優樹)

 

他社商材取り扱いで3PL事業拡大、BtoCも成長

 

 ――まずは貴社の事業概要についてお聞かせください。取り扱っている荷物はどのような品目がメインとなるのでしょうか。

 

 岩男 当社の親会社である福助(本社・東京都江東区、坂本友哉社長)は1882年に創業し、足袋・靴下をはじめとしたアパレル小物を取り扱ってきました。福助の物流部門を前身とし、2000年に同社から独立して、100%子会社の「福助物流」として当社が設立されました。その後、03年に現在の社名へと変更しています。

 

 当初は福助の商品だけを対象に物流サービスを手がけてきたのですが、14年に福助グループが総合商社である豊田通商(本社・名古屋市中村区、今井斗志光社長)の傘下に入ったことで、当社も新たなスタートを切りました。

 

 併せて3PL事業を拡大することとなり、取り扱う荷物を福助の商品以外にも拡充し、現在は他社のアパレル製品に加え、一部の拠点ではトヨタグループ関係や大手メーカー向けのユニフォーム、さらに大手自動車メーカーの販促品といった小物商品の物流も手掛けています。このほか、介護用品の物流事業も展開しています。売上比率では、福助が4割、それ以外が6割となっています。

 

 主な配送先として、全国規模の衣料品チェーンを中心に、百貨店やアウトレットモールなどにも商品を届けています。輸配送はすべて協力会社に委託しており、佐川急便や西濃運輸、福山通運といった大手事業者に加え、小回りの効く地場の物流事業者とも連携し、全国規模の物流網を構築しています。

 

 当社では長らくBtoBを中心に物流を手がけてきましたが、EC需要の増加を受けて、近年はBtoCにも力を入れています。福助以外の荷物がメインとなっているのですが、現在はBtoCが取扱量の1~2割を占めており、今後の拡大が見込まれています。

 

「小物向け物流」と「トヨタ流」のノウハウが〝強み〟

 

 ――長年の実績や知見を活かしつつ、業容を拡大したことで、さらなる事業成長の可能性が生まれたということですね。

 

 岩男 当社は長らく靴下といった小物商品の物流を手がけていたこともあり、現在も年間で何十万、何百万足の商品を取り扱っていることから、小物向け物流のノウハウには絶対の自信があります。そのため、個別包装や値札付けを中心とした、細やかなサービスを強みとしています。

 

 加えて、豊田通商関連の荷物を手がけるようになったことで、TPS(トヨタ生産方式)に基づいた「トヨタ流」の物流ノウハウも取り入れました。アパレルという荷量の変動が激しい品目に対し、モノの流れを整流化することで物量波動に柔軟に対応し、余剰在庫を作らない物流を提供しています。無駄のないサービスを提案することで、顧客の物流コスト抑制に貢献することが可能です。

 

 これまでの知見やノウハウが業容を拡大しても通用することを確信したため、全国規模の物流事業者としての成長を目指すことにしました。これからもこうした強みをアピールしていくほか、販促品などアパレル以外の荷物を取り扱うことで培った経験も活かし、今後は主力のアパレル関連はもとより、雑貨などの小物を中心に、新たな荷物の確保につなげていく方針です。

福助の「靴下」など小物アパレルの扱いに強み
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