カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号
――今後の自動化の具体的な計画はあるのでしょうか。
岩男 仕分け作業後に封緘された荷物については今後、自動でコンベアを流れて出荷エリアまで運ばれるシステムの導入を控えており、近日中の稼働を予定しています(25年8月末時点)。これによって出荷の効率を高め、業務負荷軽減をさらに進めていく方針です。また、仕分け作業の前工程にあたるピッキング作業についても自動化の余地を探っています。実現すれば、一部の荷物においてピッキングから出荷までの流れの大部分を自動化できるようになり、大幅な効率化が見込めます。
このほか、構想の段階ではありますが、倉庫スペースを有効活用するため、高さを活かした自動倉庫のような機器を導入することで、保管・出荷をさらに効率化できればと思います。このような自動化・省力化のソリューションは定期的に取り込んでいけるよう計画しています。
「人が集まる企業」へ成長目指す
――DX推進による現場の徹底した省力化は、多様な人材の確保にも効果がありそうですね。
岩男 当社は物流業界の中ではいち早く、女性の雇用・活躍の促進に力を入れており、女性が働きやすい環境の整備を心がけています。例えばセンターから出荷する際、フォークリフトで荷役をするのではなく、ローラコンベアを通過して荷物を直接、荷室へ送れるようにするなど、なるべく省力化や危険回避を考慮したオペレーションを設計しています。
このような取り組みを進めたことで、新卒採用も含め女性からの求人への応募が増えており、現在は従業員の7~8割を女性が占めています。当然、部長・課長といった管理職でも多くの女性に働いてもらっています。
23年には、厚生労働省が女性活躍を推進する企業に対して認定する「えるぼし」の最上位である「3つ星」認定をいただきました。現在、センター長職に就いた女性社員がまだいないため、今後は教育などをさらに進めていくことで、女性登用の幅を広げていければと考えています。
――最後に貴社が目指す企業としてのあり方や将来的なビジョンについてお聞かせください。
岩男 将来的には「靴下といえば、アパレルといえば、福助ロジスティクスだ」と言われるほど、荷主にも働き手にも高い信頼を持っていただける企業へと育てていきたいと考えています。そのためには、自動化などの物流改善を随時進めていくことで、作業員への業務負荷軽減を実現していくことが重要です。働きやすい労働環境を整備していけば、この会社で働きたいと考える人々が自然と集まってくるため、豊かな人材を強みに企業としてのさらなる発展につなげることができます。
今後も当社だからこそ持ち得るノウハウを活用し、お客様の悩みや困りごとを迅速かつ正確に解決することで、物流企業の枠を超えた「ロジスティクス・ソリューション・プロバイダー」として、全国へ〝福〟を届ける企業への成長を目指していきます。
岩男 史朗(いわお・しろう) 1968年生まれ。2001年豊田通商入社、16年TTK Logistics Thailand代表取締役社長、18年TTK Asia Transport Thailand代表取締役社長、19年豊田通商タイランド副社長を経て、22年福助ロジスティクス代表取締役社長。24年から福助取締役、25年から熊本フクスケ取締役を兼務
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