カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号
アセットの有効活用へ外販検討、強みを活かす
――最後にワコール流通としてのありたい姿をどう描いているかお聞かせください。
新瀬 来期からワコールグループの中期3ヵ年計画が始まります。物流面を支援するワコール流通としては、主に3つのことに取り組みます。
ひとつ目が「BtoCの強化と取り扱いSKUの拡大」です。先ほど「SKUの“削減”を提言している」と言ったのと矛盾するではないかと思わるかもしれませんので、少し説明させていただきます。まず、守山流通センターは現状、10万SKUを扱っていますが、将来的には15万SKU程度を扱えるような能力を持ちたいと考えています。ECの世界で品ぞろえの幅は“無限”です。現状、SKUを“削減”すべきというのは、効率の悪い品数を排除してもっと筋肉質になるべきだという意味です。そのうえで魅力的な商品のキャパシティーを確保することで、物流子会社である当社がコストセンターとしてではなく、トップラインに貢献できるのではないかと考えています。ワコールの自社ECの取り扱いは30年には1・5倍、さらにもっと拡大する可能性があり、それに合わせてSKU処理能力を上げていく必要があります。
2つ目は「生産性の向上」です。当社はまだ人を前提とした労働集約型の会社ですが、自動化の可能性をさらに研究していきたいと思います。3つ目が「持続可能性の追求」です。これには物流におけるCO2削減、人材の育成、外販の検討も含まれています。
いまは100%ワコールの商品しか扱っていませんが、守山流通センターと伏見流通センターという2つのアセットを有効に使うために、外販を検討していかなければなりません。ワコールHDと外部の物流コンサル会社の協力を得て、4ヵ月をかけて当社の業務を精査しています。業界標準に照らしてコスト構造が適切かどうか、ワコール流通の強み、弱みを判断してもらいます。そのうえで強みを活かせる分野で何ができるかについて考えていきます。
新瀬 幸司(あらせ・こうじ) 1968年生まれ、大阪府出身。91年3月関西学院大学経済学部を卒業後、同年4月ワコールに入社。マーケティング本部マーケティング戦略部長を経て、2024年4月から現職
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