カーゴニュース 2025年10月2日 第5375号

インタビュー
強い小売には強い「物流」が不可欠
バローホールディングス
取締役社長 小池孝幸 氏

〝自前主義〟で培った物流ノウハウで外販拡大へ

2025/10/01 17:00
全文公開記事 FOCUS 荷主・物流子会社 インタビュー

関西、関東への拡大戦略を支える物流とは

岐阜県可児市のマザーセンター

 ――グループ売上高1兆円の早期実現に向け、「関西1000億円構想」「関東500億円構想」を掲げて同エリアへの出店を増やしていますが、どのような物流戦略を考えていますか。

 

 小池 バローグループでは現在、岐阜県可児市にマザーセンターを構え、そこから各地のセンターを経由して店舗に配送するという、いわば集中型の物流体制をとっています。遠距離の店舗向けには一部で転送、つまりセンター間の輸配送が発生しています。現段階では転送によるコストや手間よりも集中化によるメリットのほうが上回っていますが、関西や関東での出店を増やしていけば、よりエリア完結型の物流を検討しなければならないタイミングは必ず来ます。今後の出店ペースなどを見極めながら拠点配置の再構築を検討していきますが、その際には既存センターの配置や用途の見直しといった〝玉突き〟も想定されます。中部興産が運営を担っているグループの物流センターが約30ヵ所あり、常温センターやチルドセンター、青果や米飯のセンター、プロセスセンターに加えて、スーパーマーケット向け、ドラッグストア向け、ホームセンター向けなど多岐にわたっています。これらのセンターの配置を今後どのように見直していくかについては、今後の出店ペースを見ながら柔軟に検討していくことになりますが、自前での運営は臨機応変に対応できる点において大きな強みです。店舗も同様ですが、例えば当社のスーパーマーケットの近隣に競合の新店舗ができた場合に、ドラッグストアに素早く転用するなど、〝つぶし〟が利くことが内製化の大きなメリットだと考えています。

 

 ――今後、関西や関東に配置する物流センターでも自前主義を貫く方針でしょうか。

 

 小池 そこは今後の大きな検討課題です。最近の建築コストや人件費の高騰を考えると、自分たちで投資したものを長い時間をかけて回収・償却していく手法が難しい時代になってきたことは事実です。これまでは自前の土地、施設、人員にこだわってきましたが、これからはすべてを自分たちで抱える時代ではなく、施設の賃借やパートナーとのアライアンスなど多様な手法を柔軟に組み合わせていく必要があります。ただ、当社には長年、自分たちで物流を運営してきたノウハウや知見が蓄積されていますので、単なる物流業務の丸投げという形にはなりませんし、するつもりもありません。仮に外部委託を活用するにしても、当社なりの手法を入れていくことになるでしょう。

 

 また、物流拠点の機能についても検討していきます。例えば、今まではスーパーマーケット専用のセンターだったものを、ドラッグストアとの両方に対応したマルチタスク型の物流センターに整備するなどです。小売業界では店舗のボーダーレス化が進展しており、物流拠点についても垣根を取り払った汎用型のセンターを志向していく必要があります。

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