上屋棟1棟と物流棟2棟で構成

カーゴニュース 2026年3月31日 第5423号

FOCUS
ヒューリック/JAL
「WING NRT」29年度稼働へ開発進む

上屋×物流施設で迅速な輸出を実現

2026/03/30 17:00
全文公開記事 倉庫・物流施設 航空 グローバル物流

 ヒューリック(本社・東京都中央区、前田隆也社長)と日本航空(JAL、本社・東京都品川区、鳥取三津子社長)は成田国際空港至近で、貨物上屋と物流施設が隣接した国内初の大規模国際物流拠点「WING NRT(ウイングナリタ)」の開発を進めている。JALは分散・老朽化した同空港内の貨物上屋を新拠点に集約するとともに、DX化を進めて物流効率化を推進。さらに、物流施設と上屋の一体的運用によるスピーディーなオペレーションを〝強み〟に、国際航空輸送需要の取り込みを図る。成田空港の新滑走路整備に伴う貨物量の増加が見込まれる2029年度中に稼働を予定している。

 

上屋棟と物流棟を開発、JALは成田拠点を集約

 

 成田空港から約10㎞、車で約10分の距離に位置する「WING NRT」の開発地(敷地面積45万㎡)では現在、土地の造成工事が27年3月の終了に向けて進んでいる。建築工事は27年内から開始し、29年度内の完了を予定している。総事業費は1000億円超と大規模な開発計画だ。

 

 具体的には上屋棟1棟(延床面積約15万㎡)と物流棟2棟(延床面積約25万㎡)を開発し、その他共用棟なども含め、合計延床面積は42万㎡を計画している。このうち、上屋棟1棟はJALが単独で利用。1階を輸出エリア、2階をロジスティクス事業エリア、3階を輸入エリア、4階は事業拡大エリアとし、医薬品定温庫や冷凍・冷凍倉庫も備える。

 

 同社が成田空港の北部貨物地区で運営している6ヵ所の貨物上屋は、拠点が分散していることから非効率なオペレーションが発生。加えて、一部施設は供用開始から50年近くが経過しているなど、老朽化や狭隘化が課題となっていた。今回、「WING NRT」の上屋棟に北部貨物地区の空港隣接機能一部を除く上屋を集約することで、貨物の受け渡しを1ヵ所で完結できる体制を構築し、通関・検疫を含めた一気通貫のサービス提供につなげる。さらに、自動化機器の導入により業務の省人化や迅速な搬入出を実現する。自動化機器の導入計画については、AGF(自動フォークリフト)やAGV(無人搬送車)による自動搬送、夜間におけるロボットアームによる輸入貨物のブレイクダウンなどを視野に入れる。

 

 また、拠点集約後は開業時から30年代にかけて北部貨物地区と「WING NRT」を併用し、成田空港が整備を予定している新貨物地区の完成後は「WING NRT」と同地区を併用する〝デュアルハブ〟の体制を構築していく。

 

 物流棟に関してはマルチテナント型での開発を予定しており、航空貨物に特化した施設として今後詳細な設計計画を検討していく。各テナントの賃貸面積によるものの、50~60社程度の企業の入居を可能とする。

開発地では造成工事が進む

「1日→最速6時間」、スピーディーな出荷が〝強み〟

 

 ヒューリックは首都圏を中心に複数の物流施設の開発実績を持つ。今回、JALとの共同開発に至った経緯について、ヒューリック営業推進部統括部長の長塚嘉一常務執行役員は「国際航空貨物に特化し、かつここまで大規模な開発は当社として未経験であり、デベロッパー単独で完結するのは難しいと考えた。テナント企業に拠点の真の価値を感じてもらうには上屋と物流施設が一体的に運用されることが極めて重要であるため、航空貨物について長年の知見を持つJALにパートナーとして参画をお願いした」と述べる。

 

 他方、JAL貨物郵便本部事業推進部長の梅原秀彦氏は「上屋の分散による非効率に加え、老朽化した既存の上屋では、マテハン機器を導入しても効果を発揮しきれない。自動化を前提に設計できる施設を検討していた矢先にヒューリックから新拠点の提案をいただいた。当社が理想とするオペレーションを1から設計できる部分に魅力を感じたことに加え、コスト抑制も見込めることから、前向きに検討を開始した」と明かす。

 

 「WING NRT」の最大の〝強み〟とは、貨物上屋と物流施設が隣接し、一体的運用が可能なことによる迅速なオペレーションだ。従来の輸出スキームでは、海外顧客から出荷のオーダーを受信後、在庫保管している荷主の拠点から空港外のフォワーダー拠点まで貨物を輸送し、その後空港内の貨物上屋へと運んで航空機に積載し出荷している。受信から航空機の出発まで通常は1日以上、荷主拠点が遠方である場合はそれ以上の日数を要する。

 

 しかし、「WING NRT」の場合は荷主倉庫とフォワーダー施設が同じ拠点の中にあることから、両施設間の輸送が不要となる。隣接する上屋棟への輸送についても、シャトル便を走らせてミルクラン方式で一括集荷するため、テナント側での傭車が不要。これにより、出荷オーダー受信から最速6時間程度で貨物を空港から出荷することが可能になる。

 

 こうした〝速さ〟という強みをフルに発揮するには、「WING NRT」と成田空港の間で整備が進む「北千葉道路」の延伸が不可欠となる。開通に向けて順調に工事が進められており、現状は成田空港まで混雑する市街地を経由する必要があるが、同道路が完成することで、車での所要時間が約10分に短縮する見込み。これにより、空港内の物流施設と比べて遜色のないスピード感を維持する。

 

 また、輸入貨物や通関・検疫についても、拠点内で進めることにより空港内の混雑を回避した業務が行えるほか、従来の貨物上屋と異なり、施設を密閉型の設計とすることで生鮮貨物などの取り扱い品質の向上が期待できるという。

 

 一方、空港内の上屋と同等の機能を「WING NRT」に持たせるには、通関のみならず動植物検疫といった、法令上空港内などの限られたエリアでしか行えない業務を空港外でも行えるようにする必要がある。現在、関係当局との協議を進めている段階であり、梅原氏は「許認可が降りれば、物流棟を利用するメリットを感じる企業も多くなる。前例のない対応であるが、当プロジェクトは国家的意義を備えており、関係各所に前向きな検討をお願いしている」と強調する。

複合拠点のメリットを活かす
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