カーゴニュース 2026年4月21日 第5429号
「BCP対応の極意」とは?
――大変な危機でしたが、いろいろな学びや気付きもあったのですね。
児玉 やはり〝物流は人〟なのだと思います。今回の危機を克服して感じたのは、BCPの極意というのは、物流の基本構造をわかるメンバーを育て、その知見とスキルを継承していくことです。そしてできれば、それらの知見・スキルをデジタル技術やシステムの知識を活用し、改良・改善していくことが望ましいと思います。そうした物流人材を育成・継承していくことが実質的なBCP対応の要点であり、持続可能な物流の基盤になるのだと考えています。物流というものは本来それほど複雑なものではないと認識しています。本質や基本構造をとらえることで、できるだけ単純化し、様々に変化する状況や今回のような大きな危機にあたっても、しっかりと対応できる人材を育成していきたいと思います。
ボタンひとつを押せば物流業務の何もかもができてしまうようなシステムは理想なのかもしれませんが、今回のように未曾有の事態が発生すれば、大変なリスクとなってしまいます。重厚なシステムではなく、身軽なシステムを上手に活用することが大事ではないでしょうか。人間がシステムに依存するのではなく、物流のことを知っている人間がシステムをグリップして動かしていくことが重要です。当社は中期経営計画で、DX人材を今後100人育成することを掲げています。今回の危機により、その必要性を再確認しました。
繰り返しになりますが、システム障害が判明した翌日の朝一番にはBCP方針を決定し、それを実現する業務フローを策定することができたのは、事業会社も物流機能会社も常日頃から相互交流をし、「One Asahi」の標語を掲げて同じベクトルを向いて危機に対応できるポテンシャルを備えていたからであり、誇れることだと考えています。
――最後に今後の展望をお聞かせください。
児玉 やはりシステム障害の影響により、当社の取り扱う物量は減少しました。まずは24年レベルの取扱量に戻していくことが当面の課題です。そのためにはアサヒグループの貨物だけでなく、外販貨物の取扱量を一層拡大し、それに合わせ、より効率的な物流スキームを構築しようと考えています。現在の輸送インフラと作業インフラをしっかりと維持しながら、来年度以降は輸送力・作業力を拡大していきます。物流パートナー会社の皆様と真摯な対話を重ね、来年以降のインフラ拡大の局面につなげていきます。
児玉 徹夫(こだま・てつお)
1962年生まれ。神戸大学理学部卒。86年アサヒビール入社後、2010年から物流システム部長、17年には同執行役員、19年には東京2020オリンピック・パラリンピック本部ロジスティクス局長を兼任。21年からアサヒロジ代表取締役社長に就任
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