カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
石油製品・化学品など液体貨物の輸送を担うタンクローリー。危険物も多く扱うことから、その輸送においては厳しい安全対策が要求されるとともに、ドライバー不足やローリー建造価格の上昇など様々な課題に直面している。全日本トラック協会タンクトラック・高圧ガス部会の部会長を務める堀田正二氏(朝日運輸)にローリー業界の課題と取り組みを聞いた。
(インタビュアー/吉野俊彦)
輸送の安全性、適正運賃収受が不可欠
――ローリー輸送の現状と課題についてどのように認識していますか。
堀田 まず、あらゆる貨物輸送について、安全が最優先されることが大前提です。これは危険物輸送に限った話ではありません。貨物輸送事業は安全を土台にして成り立っています。そのうえで、危険物を扱う輸送事業は、いったん事故が発生した場合、社会に対する影響は他の貨物と比べて甚大です。このため、より高いレベルの安全性を確保する必要があります。タンクローリーのドライバーは危険物輸送の有資格者であることが法令で定められており、走行中のみならず、荷降ろしの際にも、法令を遵守することが求められています。危険物輸送に携わる事業者は、「安全最優先経営」を行うことが社会的責務であると考えています。
そして、輸送の安全性をしっかりと担保して事業運営を行うためには、その原資となる適正な運賃収受が不可欠です。とくに近年は、燃料費と人件費の高騰が著しく、従来の運賃水準では、事業継続は困難な状況となっています。安全の確保とドライバーの労働環境改善に必要なコストに見合った運賃を収受するために、積極的に運賃交渉を行うべきです。
全日本トラック協会では運賃・料金の交渉を支援するため、運賃交渉相談会の実施、専門家による経営診断や個別運賃交渉・相談に係る費用に対する助成など、適正運賃の収受に向けた支援を行っていますので、これらを活用していただきたいと思います。
――ドライバー不足や人件費の高騰、それに伴う価格転嫁の必要性について荷主はどのように受け止めているでしょうか。
堀田 荷主の理解はかなり進んできていると感じています。きっかけとなったのは物流の「2024年問題」です。ドライバー不足と労働時間規制の厳格化によって今まで通りにはモノが運べなくなるという認識が社会的に広まりました。多くの荷主が自社の貨物が運べなくなる状況を懸念し、対策を講じなければならないという危機感を持ったのだと思います。燃料費・人件費をはじめ、様々なコストが上がっていることは、荷主側もよくわかっており、従来と比べて格段に交渉を行いやすくなり、多くの荷主が運賃・料金の交渉に応じてくれるようになりました。まだ十分ではないものの、多くの荷主との取引で一定程度の運賃値上げを実現しています。
「2024年問題」が騒がれるようになる前と比べ、荷主は物流の状況に敏感になり、我々運送事業者に歩み寄りを見せているように感じています。物流関連の法改正が次々と行われ、新しい制度も創設され、大きく潮目が変わってきたと感じています。
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