カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
冬季の繁忙期、告示の遵守は困難
――改正物流法では、荷待ち・荷役作業時間の削減が重要なテーマとなっています。危険物輸送における待機時間の発生状況はいかがですか。
堀田 他の品目の運送と比べると、年間を通しての待機時間はそう長くはありません。ただ、冬季など繁忙期は給油する利用者が集中する時期ですから、SSでローリーが荷降ろしするスペースを確保できず、2時間前後の待機が発生することがあります。
少し話がずれますが、石油類の輸送は冬季の繁忙期には現行の改善基準告示が定める拘束時間を遵守することが難しいことがあります。一方、夏場は閑散期になり、繁閑差が極端だと言えます。改善基準告示について、輸送する品目の特殊性を考慮した運用が行えるように改めていただきたいという希望があります。
――他の輸送品目と違い、タンクローリーは手荷役がありませんね。
堀田 荷降ろし作業は、車のホースを納品先のタンクのバルブにつなげることだけと言ってもいいでしょう。その意味で女性ドライバーも乗務しやすいですし、実際に女性のローリードライバーが活躍している例は多いです。日本全体で労働力人口は徐々に減少していきます。運送業界では若年層の入職が非常に少なくなり、若手ドライバーは減少する一方です。女性ドライバーをもっと増やしていくための環境整備が必要だと考えています。
――ドライバー不足が深刻ですが、とりわけローリーのドライバーは有資格者であることが求められますし、採用・育成のハードルが高いと思います。
堀田 当社でもドライバーを集めることはかなり難しいのが実情です。結局のところ、まずは若い人に入社してもらうこと、そして、入社後に大型免許を取得してもらいます。ある程度経験を積んできたら、けん引免許などを取ってもらうなど、職能を広げてもらえるように対応しています。甲種・乙種危険物取扱者の資格も入社後に取得してもらうことにしています。昔は工業高校の生徒が危険物取扱者の資格試験を受けることがよく見られました。近年はすっかり様変わりし、時代が変わったと思います。
昔と比べて、賃金をはじめとする人件費関連の経費がコストの大きな割合を占めるようになっています。とにかく若い人に入社してもらい、育てていかなければ、長期的な人材確保はできません。先ほどの「適正原価」にも関連しますが、事業継続できる投資のためのコストも「適正原価」に含めるというのは、当然そうあってしかるべきだと考えます。外国人ドライバーへの門戸を広げることも重要です。多様性の時代に応じて、運送業界はより働きやすい環境に変っていく必要があります。
知見を持ち寄り、課題の解決を目指す
――最後に堀田部会長が所属している「中部タンクトラック部会」の活動についてうかがいます。部会の所管エリアには四日市コンビナートがあり、国内有数の化学品製造エリアであることもあって活動が活発な印象があります。
堀田 中部タンクトラック部会は、愛知・岐阜・三重の東海3県の危険物・化成品・高圧ガスを取り扱う物流会社で構成され、「安全最優先」「環境負荷低減」「コンプライアンス」を掲げ、活動を展開しています。業界が一体となって情報を収集・共有し、知見を持ち寄ることで課題の解決を目指しています。部会内に「経営研究」「石油」「高圧ガス」「液体薬品」の4つの委員会を設け、それぞれのテーマに沿って調査・研究・協議・研修を行い、会員各社だけでなく業界・荷主・行政にその情報を発信しています。部会内で得られた様々な知見は、全ト協のタンクトラック・高圧ガス部会でも共有することで業界の改善につなげていきたいと考えています。
堀田 正二(ほった・せいじ)
1959年、名古屋市生まれ。全日本トラック協会タンクトラック・高圧ガス部会部会長、中部タンクトラック部会部会長。朝日運輸取締役会長
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