カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
ローリー建造費が上昇、納車2年待ちも
――安全を守るためにこそ、運賃交渉が必要ですね。20年4月に国が告示した標準的運賃では、危険物を運ぶタンクローリーなどの特殊車の割増がありませんでした。その後、22年11月に特殊車の場合は一般の大型トラックやトレーラの運賃の3割増を上限に定めています。
堀田 当初の標準的運賃には特殊車への割り増しがなかったのですが、業界が働きかけた結果、危険物輸送の特殊性を踏まえて割増が実現したという経緯があります。もちろん標準的な運賃は目安となる運賃ですから、実際の取引での運賃は告示された運賃水準に達していないケースが多いのが現状です。しかしながら、荷主との交渉を行う際には国が告示した運賃であることを説明し、交渉に役立てている例が増えています。
――昨年6月にトラック適正化二法が成立し、法律で「適正原価」を設定することが決まりました。国交省は全ト協と連携して全国の事業者に対しアンケート調査を行い、先月上旬から集計と精査を始めています。「適正原価」についても、標準的運賃と同様に、特殊車両の割増が設けられてしかるべきと思いますが…。
堀田 当社もアンケート調査の回答を提出しましたが、相当数の設問があったという印象です。忙しい事業者にとって回答提出は負担になったかもしれませんが、業界の取引環境を改善するためのものとらえ、多くの事業者が真摯に協力していたと考えています。
危険物輸送では、消防法で定められた様々な規定を遵守し、国交省が策定した「貨物自動車運送事業の安全管理に関するガイドライン」に則った輸送を行うことが求められています。バン型トラックで輸送できる品目もありますが、冒頭申し上げたように、タンクローリーの場合は、危険物取扱者の有資格者でなければ乗務できません。また、荷降ろしの際には納品先の担当者の立会いを要するなど、他の輸送品目とは異なる条件があります。休憩や停車時には安全な場所を選び、車両から離れてはいけません。さらに、横転を防ぐための慎重な運転を要するなど、様々な留意点があります。こうした危険物輸送の実態を踏まえ、安全確保のために必要なコストを十分に考慮して「適正原価」を定めていただきたいと思います。
――車両費も上昇しています。バン型など標準的な大型車はここ数年で3~5割以上値上がりしていると聞きますが、特殊車であるタンクローリーはいかがですか。
堀田 建造費について言えば、この5年間で石油系タンクローリーは5割増、化学品用のローリーはタンクの特殊加工などがあり、2倍程度に上昇しています。納期も延びており、かつては発注してから半年程度で納車されていた種類のローリーが納車まで1年かかるようになり、納車まで1年を要していた車両は2年後の納車になるなどかなり長期化しています。
荷主からの新規案件があり「いざ車を増やそう」と思っても、納車まで1年もかかってしまうと案件に間に合いません。そのため、車両の更新期間を延長するなどの対応も行っています。10年の更新期間の車両は12年、8年ならば10年と2年間延ばし、新車が納車されるまでを待つわけです。顧客のニーズに迅速に応えるため、ISOタンクコンテナに切り替える例も増えてきました。ISOタンクコンテナであれば、シャーシにタンクを載せ替えることで効率的な運用ができますので、タンクローリーからISOタンクコンテナに転換する動きは今後も進むと見込んでいます。
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