カーゴニュース 2026年6月4日 第5440号
大手同業4社で研究会発足
専門人材の外部登用も推進
――先程お話に出た「SM物流研究会」について詳しくお聞かせください。まず23年3月に首都圏SM物流研究会(サミット含むスーパーマーケット4社参画)を発足し、首都圏エリア外の参画もあったため、同年10月にSM物流研究会を発足。さらに24年12月には関西SM物流研究会を発足しました。現在は3体制で活動をしており、SM物流研究会には24社が参画しています。
武田 元々は日本スーパーマーケット協会の首都圏で営業している正副会長企業が集まり、前身となる4社物流協議会を設けたのが始まりです。当初は加工食品における定番商品の発注時間の見直し、特売品・新商品の発注・納品リードタイムの確保、納品期限の緩和(2分の1ルールの採用)、流通BMS(Business Message Standards)による業務効率化――という4つの課題について取り組みを進めるところからスタートしました。
活動は月に1回の会合を通じて検討が行われます。物流課題の解決にはサプライチェーンの一部である小売の企業だけで話しても意味がありません。そのため、会合にはメーカーや卸の企業にも参加していただき、それぞれが抱いている課題や小売への要望をヒアリングするとともに、小売が抱える物流課題を共有することで、妥協点や解決策を模索しています。
――参画企業間での物流共同化の取り組みも展開しているのでしょうか。
武田 主要な活動のひとつとして、共同配送の検討も進めています。小売企業同士の物流センターは近接した場所に存在していることが多いため、近い店舗であれば共同配送を行いやすくなります。しかし、店舗の什器回収(カートラック、ドーリーなど)があるため積載に余裕がないこと、首都圏の配送距離が100㎞圏内と短く、共同配送に適さないことから、まだ実現には至っていません。現在は、それぞれの拠点から配送している車両をどうやって1台に集約できるか検討を進めている段階です。
他のSM物流研究会の参画企業間ではすでに、加工肉メーカーの配送ルート、配車車両の積載余力に着目したセンターへの共同配送といった事例も出ていますが、当社では実運送を担う運送会社も含めてサプライチェーンを担うすべての企業がメリットを享受できるような、効率的な配送を構築するためのノウハウがまだ十分に揃っていないという課題を抱えています。
そこで当社では、物流効率化の知見を持つ専門人材を外部から登用することで、我々の中にある知見だけに頼らず、さらにノウハウを獲得していくことにもチャレンジしていきます。具体的には、運送会社に近いポジションで働いていた方やセンター運営を手がける企業で働いていた方、同業他社の方などを対象に考えています。物流には我々の知らない知識や情報もまだまだ多く、ノウハウや知見を積極的に取り込んでいかなければ、今後の物流課題の解決は難しいものと考えています。
――拠点や店舗における物流DXの導入やデジタル化の取り組みは進んでいるのでしょうか。
武田 当社では全店舗で、日立製作所が開発した「AI需要予測型自動発注システム」を導入・運用しています。先程お話した日配チルド品のリードタイム延長の取り組みも、この自動発注システムにより、より正確な需要予測が可能になったことから実現したものです。
他方、店舗だけでなく物流センター側でも需要予測のDXを進めていく必要性を感じています。物流センター側では短くても2ヵ月先までの物量を見通しておく必要があるのですが、既存の需要予測システムでは予測できる期間が短いという点がネックとなっています。メーカーに対して必要な量をどのタイミングで発注できるかによって確保できる在庫量が変わってくるため、今よりもさらに正確な需要予測が求められています。現在、日立製作所との検討を進めている最中です。
また、店舗側における車両の待機削減についても、システム導入などDXの余地があります。現在、店舗納品にきた配送業者に紙の入店簿へ記入してもらうことで、店舗に来た車両の滞在を管理しているのですが、店舗にはゴミ収集や食品直送、現金回収といった多くの車両が出入りしていることから、車両の混雑による待機が発生しているケースもあります。たとえば、複数の店舗へ納品する車両に対し、ある店舗で車両の待機が発生しそうだったら、待機が発生しない店舗へ先に納品してもらうようなシステムが整えば、車両待機の削減が期待できます。このように個々の店舗の納品状況を把握しつつ、全体の状況も管理して効率化を図るには、物流DXの推進は避けて通れないのではないかと考えています。
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