カーゴニュース 2026年6月4日 第5440号
物流課題解消には「同じ方向を向くことが重要」
――貴社にとって物流統括責任者というのは、どのような役割を果たしていくべきだと考えていますか。
武田 物流課題をひとつひとつ解消するには、各商品部や店舗に多くの依頼をする必要があるため、物流部と各商品部および店舗間での連携を円滑に進めていくことが求められます。物流部として進めたい施策があっても、商品部からNOがあると先に進めることができません。私は物流部だけでなく、多くの商品部も管轄しているため、部署間が物流面で連携しやすい環境を構築できることが、物流統括責任者としての強みとなっています。どういった取り組みが実現可能なのか、ネックとなっているのはどの部分なのかを俯瞰的に見るには、物流部と商品部の両方に関わる私のポジションはとても動きやすい環境にあります。
生鮮品に関しては現在管轄していないのですが、元々鮮魚部に所属していたこともあり、そのノウハウを通じて生鮮品の部門とも強固な連携を保てる環境を整備できます。こうした強みを活かし、当社にとっての課題はもとより、メーカー側の課題、センター運営側の課題などを捉えながら、優先順位を付けつつ改善に取り組んでいきます。
――特定荷主に課せられた物流の中長期計画策定において、貴社ではどのような方針を盛り込んでいきますか。
武田 持続可能な店舗納品の体制を構築していくことが大前提です。そのためには、物流センターの配置を見直したり、センター内の作業をどこまで機械化・自動化すべきなのか、配送効率をどのように向上させていくかがポイントとなります。当社は関東に出店していることもあり、人口が東京に集中していく中で、今後新たに店舗を設ける際には売り場を広げる必要がありますが、その分バックヤードが狭くなっていきます。今まで以上に店舗納品のシミュレーションをきめ細やかにしなければならないというのは、中長期計画を策定するうえで重要なテーマとなっています。
しかし、物流センターの配置見直しや集約については、近年の様々なコスト上昇に伴い、見通しを立てにくいというのが現状です。物流センターの人材不足に対応するためにも、何かしらの対策は不可欠であり、集約による効率化や店舗へ近い場所への移転などが理想ではあるのですが、現時点では具体的な計画は立っていません。
――貴社の目指す物流の在り方を実現するにあたり、行政や物流会社、また小売業界全体への要望はありますか。
武田 小売業というのは他業種と比べると利益率の高い業種ではないため、投資が難しいという側面があり、物流に関しても投資が遅れている状況にあります。そのため、物流センターについてもひとつの施設を長期にわたって利用することが多いのが現状ですが、拠点を改善しないことには物流効率化の取り組みも進みづらく、スーパーマーケットにはさらに投資が難しい中小の事業者も多いため、持続可能な物流を構築するためにも国からの補助が必要だと考えています。
また、小売業界の物流課題を解決するには、大手事業者だけでなく、中小も含めて同じ方向を向いて取り組みを進めることが重要です。SM物流研究会では、活動を通じて培ったノウハウや情報を発信することで、小売業界の物流の現状を広く認識してもらい、中小の事業者にもともに取り組んでもらいたいという思いがあります。先程も言いましたように、中小の事業者は投資が難しいこともあり、同じ取り組みをすることが難しい企業もいます。ですが、あくまで同じ方向を向いてもらったうえで、研究会の取り組みを参考にしてもらうだけでも、小売業界の物流の変革につながるものと考えています。
たけだ・さとし 1992年3月サミット入社。2016年6月鮮魚部マネジャー、22年4月物流部マネジャーおよび新砂物流センター設立プロジェクト責任者。23年6月執行役員に就任し、一般食品部・デイリー部・家庭用品部・グロサリー業務部・物流部を担当。26年4月から物流統括責任者を兼務
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