カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号

インタビュー
「3・5PL」の事業モデルをさらに追求していく
NTTロジスコ 代表取締役社長 中江康二 氏

医療機器やエンタメグッズ分野でPF化が加速

2025/09/30 07:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 インタビュー

医療機器物流やエンタメグッズ物流が急成長

4月に大阪市内に開設した「MDCⅡ」

 ――「3・5PL」の浸透もあり、メディカル関連やエンタメグッズ関連などNTTグループ以外の外販事業が非常に好調です。

 

 中江 注力分野のひとつであるメディカル物流は順調に成長しています。とくに医療機関に納品した医療機器類を回収・洗浄して再出荷するサービスは、従来は東京・平和島の1拠点で展開していましたが、今年4月に大阪市平野区に延床面積約1万9700㎡の「メディカルディストリビューションセンター大阪Ⅱ(MDCⅡ)」を開設したことで、東西2拠点で洗浄サービスを提供できる体制が整いました。これにより、医療機器メーカーの拠点分散化によるBCP対策にも対応できるようになり、大阪エリアを中心に新規顧客の獲得が進んでいます。

 

 当社のメディカル物流はこれまで循環器や整形が中心でしたが、ここにきて歯科や眼科にも対象領域が拡大しています。また、医療機器の共同配送サービスである「メディカルライナー」のカバーエリアも、関東全域や関西、名古屋、福岡の各エリアに順次広がっており、今後も拡大予定です。メディカル物流の売上高は現在、70億円前後ですが、早期に100億円規模まで行き上げたいと考えています。

東西で医療機器の洗浄サービスを確立

 ――エンタメグッズ関連の物流事業も急成長しています。

 

 中江 24年2月に千葉県八千代市に専用センター「東日本エンターテインメントロジスティクスセンター(東日本ELC)」を開設しましたが、ほぼ満床状態にあり、10月に約1万㎡を借り増すことが決定しました。また、9月には大阪八尾市のNTT都市開発が開発した物流施設を一棟借りして延床面積約2万4000㎡の「西日本ELC」が稼働しており、エンタメグッズ物流でも東西2拠点体制が実現しました。センター内ではAGVなどを活用した効率的なオペレーションを提供しており、エンタメグッズ業界向けのプラットフォーム(PF)サービス体制が整ってきました。

 

 エンタメグッズ物流は季節波動が大きく、店舗向けやEC、イベント向けなど販売チャネルに合わせた出荷体制を構築する必要があるなど、複雑な管理やオペレーションが求められます。それゆえ、SC全体をカバーした提案能力や高品質な現場運営力に支えられた当社の強みが活かしやすい分野だと言えます。それが短期間で急成長できた要因だと分析しています。

9月に稼働した「西日本ELC」

ドコモの携帯端末物流でメーカーとの垂直統合に着手

 

 ――NTTグループ向けの物流業務の現状についてはいかがでしょうか。

 

 中江 数年前にNTTドコモの携帯端末の物流業務を受託したことで、NTTグループからの売上が増えましたが、現在はグループからの継続的な効率化要請もあり減収傾向が続いています。とくに今期はタウンページなど電話帳が全廃されたため、電話帳関連の物流業務がなくなり、大きな減収が見込まれます。

 

 その結果、今期の売上高は550~560億円となり、前期比で若干の減収が避けられない見通しです。NTTグループからの減収分を、一般市場を対象にした外販でカバーする状況が続いており、外販はここ数年、年率2ケタの成長を継続しています。売上高に占めるグループ外の比率は現在6割程度まで高まっています。

 

 ――NTTドコモの携帯端末の物流を東西2拠点体制で請け負っています。

 

 中江 東京、大阪の2拠点で、携帯端末メーカーから納入された製品を販売店などに配送する事業を行っています。現在、取り組んでいるのはメーカーの物流拠点を同一施設内に誘致する〝垂直型〟の物流統合です。メーカーの物流拠点とドコモの販売物流拠点が同じ場所にあれば、輸配送の手間やコストがなくなり、メーカーを巻き込んだ携帯端末のSC効率化につながります。すでに複数あるメーカーのうち1社と成約しており、近く東京の拠点で取り組みを開始します。

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