カーゴニュース 2026年3月3日 第5415号

インタビュー
これからも仲間を呼び込み
再編を加速させる
SBSホールディングス
代表取締役社長
鎌田正彦 氏

2026/03/02 17:00
全文公開記事 FOCUS 総合物流・3PL インタビュー

メーカー系子会社のM&Aはさらに加速する

 

 ――新中計ではM&Aによる新規積み上げを600億円と想定しています。やや抑え目な計画に見えますが。

 

 鎌田 M&Aの流れは止まらず、これからも加速していきます。実際、私のところにも多くの話が来ていますが、現時点で決まっていないことを経営計画に織り込むことはできないので、最低限の数字として600億円を置いたということです。個人的にはもっと増えると思っていますし、売上高も7000億円どころではない成長が続くはずです。過去の成長カーブを振り返っても、創業30周年だった17年度のグループ売上高は1690億円でしたが、38年目となる今期は3倍以上となる5600億円を計画するなど高い成長率を続けています。

 

 ――メーカー系物流子会社の売却はここ数年で増加傾向にあります。

 

 鎌田 昨年10月にグループに迎えたブリヂストン物流もそうでしたが、メーカーが自分たちで物流をやっていくのは限界に近づいています。人口減少で国内マーケットが少しずつシュリンクして物量が減っているのに、自社で物流子会社を抱えていれば必然的にコストが高くつきます。シュリンクした分を他社の荷物で埋めていければいいですが、親会社のブランドを背負った状態で同業他社に声をかけてもなかなか乗ってくれません。

 

 しかし、SBSの看板に替わって「色」がなくなれば競合他社も乗りやすくなります。ブリヂストン物流も1年後にはブリヂストンのブランドが外れることがすでに決まっています。SBSリコーロジスティクスも今年1月から社名をSBSネクサードに変更しましたが、リコーのブランドを外したことで同業からの共同配送の依頼などが増えるようになりました。

 

 ――そのブリヂストン物流ですが、タイヤのみならず自動車関連物流を包括するプラットフォームに成長できる可能性があるように思います。

 

 鎌田 他のタイヤメーカーを巻き込んだ共同物流を展開してほしいというのは、ブリヂストン本体からの要望でもあります。実際、すでに海外タイヤメーカーからの引き合いが来ていますし、完成車メーカーの組立工場の近隣に門前倉庫を構えて、タイヤを共同納入するようなプランも進んでいます。また、SBS NSKロジスティクスやSBS古河物流の旧親会社であるNSK(日本精工)や古河電工は自動車部品も製造しており、裾野が広い自動車業界を取り込んでいければ、大きなプラットフォームに拡大できるポテンシャルを秘めています。カー用品販売会社などもお客様になってくれる可能性があります。

タイヤを中心に自動車関連物流を拡大へ

他社とはM&Aのやり方が違う

 

 ――これまでのM&Aの成功事例を見て、メーカー各社もSBSであれば安心して任せられる流れができているように思います。M&Aを成功させる秘訣とは何でしょうか。

 

 鎌田 M&Aのやり方が他社とは違います。他の大手物流会社の場合、規模の大きな事業会社が小さな会社を呑み込むような事例が少なくありません。そうすると、買われた側は委縮してしまい、ぶら下がるだけで満足がいくシナジーが生まれない結果になりがちです。

 

 これに対し、SBSグループのM&Aは事業を行っていないHD会社の下に事業会社が並列的にぶら下がるので、会社の上下関係がなく、みんなが仲間として事業を行います。人事もどんどん混ぜて活発に人材交流を行うことで、社員のやる気を引き出していきます。ブリヂストン物流の社長にもさっそくHDのボードメンバーに入ってもらいました。一緒に会議に出ながら議論を重ねていくことで、ともに経営を担う集団になっていることが大きいと思います。

 

 ――最初からそうしたことを考えていたのですか。

 

 鎌田 M&Aでいちばん大事なのは人の心です。どうしたらやる気を出してもらえるか、良いマネジメントになるかを徹底的に考えてきました。その結果、HD会社の下に各社をぶら下げる形がベストだという結論に至りました。HD体制をやめて大きな事業会社がM&Aをやっていくということも以前に考えましたが、それだと対等にモノが言えない状態になります。今のグループの形態はすべての事業会社が横並びの兄弟のような感じで、良い風通しになっています。HD会社との縦関係はあるものの、HD会社は事業を行わず、経理や財務などのコーポレート業務に徹し、各社をつなぐ潤滑油としての役割を担っています。仲間をどんどん呼び込んで業界再編を進めていく器としては非常に良い形だと自負しています。

 

 ――グローバル事業ですが、従来からのSBS東芝ロジスティクス、SBSネクサードの2系統に加えて、昨年からオランダのブラックバード・ロジスティクスが加わりました。

 

 鎌田 SBS東芝ロジとSBSネクサードは、親会社の事業展開に伴走して以前から広範な海外ネットワークを張っていました。他方、SBS NSKロジスティクスやSBS古河物流は国内物流が中心で、グローバルについては他の物流会社への委託が中心でした。ブリヂストン物流もほぼ同様の状態で、SBSグループ入りすることによって投資面を含めた海外物流を手掛けることができるようになることがメーカー各社の要望でもあります。それを受けて、東芝ロジやネクサードのネットワークに少しずつ集約や移し替えを進めているというのが現状です。ただ、それだけではネットワークがまだ弱いため、昨年オランダのブラックバード・ロジスティクスを買収し、手薄だった欧州の拠点を強化しました。米国もまだ少し弱いので、M&Aや事業譲渡などによって強化していきます。アジアについてはかなりそろってきており、今後新たなメーカー物流子会社がグループに入ってきても対応できる基盤は整いつつあります。

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